株式会社ギフティー太田代表など、先輩起業家がスケールや事業運営のリアルな苦労話などを披露。座談会で活発な質疑応答も(五反田バレーアクセラレーションプログラム)

イベントレポート 2023.4.1

株式会社ギフティー太田代表など、先輩起業家がスケールや事業運営のリアルな苦労話などを披露。座談会で活発な質疑応答も(五反田バレーアクセラレーションプログラム)

開催日

2023年02月16日

会場

品川産業支援交流施設SHIP

参加費

詳細

品川区が、スタートアップの集積地「五反田バレー」の認知度アップや地域活力の向上、区内産業全体の活性化を図るべく実施している「五反田バレーアクセラレーションプログラム2022」。
株式会社ゼロワンブースターのプロデュースで2023年3月までの約6ヵ月間にわたるプログラムから、2023年2月16日に開催された「研修⑥ 先輩スタートアップとの交流会」の様子を紹介します。

起業~スケールの実体験を語るアツい講演に続き、座談会で深い話も共有

今回の会場は、大崎駅徒歩8分にある品川産業支援交流施設SHIPのオープンラウンジ。
アクセラレーションプログラム参加者には、プログラム期間中のオープンラウンジの無償利用と、SHIPでの実証実験支援が特典として付与されています。

「五反田バレーアクセラレーションプログラム」3期目の今年は、全6回の研修で毎回、受講者同士がシード期ならではの課題を共有するグループメンタリングを行っています。
研修⑥でも最初にグループメンタリングが行われました。
4人ずつの4グループに分かれて約40分話し合いますが、回を重ねてきただけあって、互いの状況を知り、和気藹々とした雰囲気。
プログラムを通じた学びや気づきにより、自身のビジネスをブラッシュアップしている様子や新たな悩み、課題をざっくばらんに話し合えているのが印象的でした。

そして、プログラム最後の研修となる今回の講演のテーマは「先輩スタートアップとの交流会」です。
自身がスケールしてきた実体験を、2人の社長が30分ずつ講演。その後は2グループに分かれ、講師を囲んだ座談会が30分×2セット行われました。

今回の講師は2人、eギフトの発券から流通・販売まで提供する株式会社ギフティの代表取締役 太田睦氏と、出張撮影マッチングサービスを運営するOurPhoto株式会社の取締役/創業者 平野歩氏です。

ギフティ太田氏は、2010年の創業から個人向け、法人向け、自治体向けへとeギフト事業を展開してきた様子を披露。
現在、個人会員は約200万人以上となり、法人向けにはパートナー企業が自社でeギフトを発行・消し込みできるシステムを提供しており、これらは売上の多くの部分を占めているそう。
また、法人向けサービスでトラクションが出てから急激に伸び始めたとのこと。
2019年には東証マザーズ上場、翌年には一部に市場変更しています。
さらに、創業から現在までを立ち上げ(社員5人未満)、事例の横展開(5~25人)、法人販売(25~50人)、IPO・2階建て経営(50~150人)の4つのフェーズに分け、それぞれの注力ポイントを解説。
初めて大手コーヒーチェーンのコンペで案件を獲得できた裏話なども交え、リアルな話が盛りだくさんでした。
そして現在の2階建て経営というのは、1階に当たる既存事業の拡大は少しずつ現場マネジャーに権限委譲し、2階の新規領域の探索・深化を2代表制で機動的に進めているとのこと。
最後にリーダーシップのあり方として、ボードメンバー4人で互いの強みや個性を適材適所で活かしつつ、信頼関係を大事にして経営しているという話で締められました。

OurPhoto平野氏は、2015年に起業した事業を2020年12月に売却して、現在は取締役として経営に参加。
出張撮影マッチングサービスの着想は、ある写真館大手の売上が350億円あるため、その10%は取れるという目算からで、2017年に大手カメラメーカーから出資・事業提携を得たことで事業が加速。
M&A後も順調で、累計撮影件数は7万件を突破しています。
そして、事業立案からM&Aまでの約7年間を4つのフェーズに分けて解説。
リリースまでの第1フェーズは企画書を実現するために人を集め、巻き込むのに苦戦。
次がサービスリリース後の「死の谷」の約2年半で、Webサービスは検索で上位に上がるまで時間がかかるし、プラットフォームにはサービスを供給するカメラマンが増えないと回らず、一番苦しい時期だったといいます。
出資を得て事業が成長し始めた第3フェーズでは、収益を上げ続けるのが苦労で、その後は1→10をどう作っていくかを悩んだとのこと。
また、起業家の醍醐味は、経営者であり株主であり創造者であること。
同時に、これらの要素を持ち合わせないと起業は難しいともいえるといったうえで、Twitterで話題になった『100話で心折れるスタートアップ』というマンガを紹介。失敗や苦しさを追体験できるというのでお勧めとのことでした。

その後は机の配置を変えて2グループに分かれ、講師2人を囲む座談会がスタート。挙手した受講者が講師に質問を投げかけ、車座になった他の参加者も聞き入ります。
講演で語られた創業ストーリーの細部を求める問いには、そのときの心情や苦労話も赤裸々に語られている様子でした。

質問が途切れることもなく、どちらの講師も丁寧に真摯に応えていたのが印象的。
このような座談会は今回初の試みでしたが、10人くらいが輪になって行うことで、講師の貴重な話を共有できていたようです。
また、受講者もこれまでグループメンタリングで互いの状況が分かっているため、質問するのに周りの目を気にする必要もなく、30分×2セットを有効に使えたといえるでしょう。

プログラムの最後には交流会が持たれ、講師の太田氏、平野氏に名刺交換・アドバイスを求める姿が見られました。受講者同士も互いの事業の進捗や、今回の研修内容を受けた意見交換などで、さらに懇親を深めていました。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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