「学生×起業」のアレコレを、西大井創業支援センター「オープン起業カフェ」で語り尽くし!

イベントレポート 2023.5.29

「学生×起業」のアレコレを、西大井創業支援センター「オープン起業カフェ」で語り尽くし!

開催日

2023年04月09日

会場

西大井創業支援センター

参加費

詳細

JR西大井駅徒歩1分の西大井創業支援センターでは、月額会員になると登記やインキュベーションマネージャーとの継続的な1on1ができますが、起業に興味がある方にも気軽に来てもらえるよう、非会員も参加できる「オープン起業カフェ」を毎月開催。先輩起業家とのフランクな雑談の場として人気です。今回は、2023年4月9日に開催された、「学生×起業」にスポットを当てた交流会の様子を紹介します。

アプリ甲子園優勝者、未踏クリエータから、資金調達間近のCEOまで6人6色

集まったのは、学生ですでに起業した人を含む、自分でビジネスを興すことに興味があるという学生6名。
そこにオブザーバーとして加わったのが、Creww㈱や㈱ユーザベースでスタートアップ支援事業を担い、(一社)スタートアップスタジオ協会にも関わっている寺田麗未さんです。


起業カフェの進行は、西大井創業支援センターの野田賀一センター長。「学生」という括りで行う起業カフェは初めての試みですが、参加者にはすでに同センターの会員であったり、「五反田バレーアクセラレーションプログラム」の経験者がいるなど、馴染みやすいメンバーが多いため、ざっくばらんな雰囲気で会が進められました。

まず、参加者が1人ずつ自己紹介。学生ながらどういうビジネスを考えているのか、西大井創業支援センターや品川区との関わりや起業フェーズについてなどを話していきます。
参加者はこのような方たち。

・理工系大学院在学中に会社設立し、CEOを務める。「Web×医療」による医師のサポートを志し、心臓循環シミュレートアプリ「SimArthur」を開発・提供。入力した身体パラメータを瞬時に計算、グラフ化して心臓循環の理解を助ける。「五反田バレーアクセラレーションプログラム2020」に参加しており、当時は血流カメラという事業アイデアだった。

・今春より歯学部6年生の2人。会社設立はまだだが、社会人1名を含む、6名のチームで、歯科医師の患者への医療情報説明ツールを現在プロトタイピング中。

・現在、東大の2年次を休学して、コミュニティ作りを活性化するイベントプラットフォームを開発中。もともと起業志向で、最初のアイデアからピボットして今に至る。まもなくクラウドファンディングを予定。大学の創業支援は理系のディープテック寄りなので、より一般的な支援が望める西大井創業支援センターを活用している。

・高校在学中に、日本最大級の中高生向けアプリ開発コンテスト「アプリ甲子園2021」にて、AIと英会話練習するアプリで優勝・総務大臣賞を獲得。東大1年次の今も、AIでアプリ開発をいろいろ手がけており、起業も視野に。

・スタートアップ勤務を経て、2022年度未踏ターゲット事業に採択。未踏で手がけた量子技術によるバンディットアルゴリズムを広告業界に適用し、プロダクト化して起業したいとのこと。現在学生ではないが、「ChatGPTに、『未踏事業と大学卒業は同等のものか?』と投げたら『どちらも専門知識を習得する場所だ』という答だったので、学生カウントでお願いします」

日本でようやく話題のChatGPTも、英語なら1年前から情報が流通!

そうして始まったフリートークは、まず「起業のキッカケ」というテーマから。

「小学生からプログラミング好き。中高とサービスを立ち上げたりしてきたが、公開してもなかなか使ってもらえない。ビジネスをやらないとダメだと気づき、マーケティングや広報も考えるようになった。直接起業のきっかけになったのは、五反田アクセラレーションプログラムへの参加」という話が出ると、「たしかに、作ったサービスを使ってもらうのは難しい」と共感する声も。
そのほか、「3代続く歯科の家系で歯学部へ進学したが、高校の先輩で、医師で起業し、イグジットした人がいて興味を持った。他の起業家にもコンタクトをとって話を聞くうちに、日本の保健医療のなかでより、資本主義のなかでゴリゴリ戦っていきたいと、気持ちが固まった」「起業を目指してビジネスコンテストなどに出ていた友人から誘われ、メンバーに。ビジネスを通じていろいろな職種や業界の人と交流できるので楽しい」などの声がありました。


また、「情報収集のし方」については、技術に関してはYouTubeやMedium(英語圏のブログ型コンテンツ発信プラットフォーム)で、英語で検索すると最先端の情報が得られるとの声があり、「ChatGPTについても日本語で情報のなかった1年前、既に英語でYouTubeを見ていると頻繁に流れていた」そう。
Twitter人気も根強く、「技術的なことは出先で見たものもブックマークしておき、必ず自宅のマシンで再現している。情報はいくらでも集まるが、自分のプログラミング技術にどう生かすかが重要」という意見も。
オブザーバーの寺田さんからは、「スタートアップ界隈はTwitter利用が多く、私も専用アカウントを持っている。起業家が失敗談など、本では得られない貴重な生の情報をnoteでまとめ、それをtwitterで発信していたりするのでチェックすべき。資金調達フェーズになると、Facebook利用が増える。起業家に対して、親和性の高そうな事業会社やVCを紹介するといったシーンでスムーズだし、若い起業家もその時点で初めてアカウントを作る人が多い」といった話がありました。

起業していくと悩みが尽きない「チームづくりとマネジメント」

次のテーマ「起業して課題に感じていること」では、「大学や大企業と共同研究や協業、オープンイノベーションなどで契約を交わす際、稟議などでものすごく時間がかかり、スピード感の違いに驚いた」「資金調達では学生に慣れていないVCだと、上から来られる感じがあったりする。学生起業家を支援した経験のあるVCやキャピタリストを選ぶほうがよさそう」などの声がありました。

そして、「起業してチームを持つと、マネジメントに苦労する」という話から、組織マネジメントを学ぶために、いつか起業するにしても、一度企業に入ってもよいかもという意見が出ました。一方で、まだ寝食を家族に頼れる学生という身分だからこそ、起業にチャレンジしやすいという声も。
そこでオブザーバーの寺田さんからのアドバイスとして「スタートアップは4~5人以上になると、成功率が一気に下がる。途中で入ってきたメンバーで、口だけで手を動かさないような人がいたり、その人の言葉でチームが混乱したりするパターンは多い。
また、スタートアップはやることがどんどん変わっていくもの。『これを作って』と依頼していた内容が、来月には変わるなど日常茶飯事で、そのときに『これ作りたかったのに、なぜ?!』とハレーションが起きたりするとチームの雰囲気が悪化しかねない。だから初期には、目指す世界観やビジョンに共感する仲間を、少数精鋭で集めるべき」といった話がありました。

さらに「人」の話題が盛り上がり、「学生間だと声をかけられるメンバーにも限りがあるが、誘ったメンバーにやる気がなかったり、いよいよリリースに向けて活況に入る矢先に、急に来なくなってしまったり・・・。やる気と技術はどう賄えばよいか」という相談が。それに対しては「一般の学生からすると、起業してサービスを作ろうとする姿はキラキラなので、サークルみたいにオープンな場で明るく100人くらいに声をかければ、1~2人は集まるのでは」「いまChatGPT関連のイベントにすごく人が集まっているので、そういう場で募るのもよさそう」という意見が出ました。また、オブザーバーの寺田さんからは「30歳前くらいの社会人で、社内では新規事業などの機会がなく、いきなり起業する自信はないが、スタートアップを手伝うことから始めてみたい人は多いもの。そういう人にプロボノでお願いする手はある。仲介してくれる創業支援団体などに当たってみては」というアドバイスがありました。

そのほか、もっと手前の悩みで「学内で相談できる同年代の仲間が欲しい」という発言を機に、「起業部があるといい」という話題で盛り上がりました。実際、全国の大学で起業部が増えてきており、部活やサークル活動、コミュニティなどが運営されているそう。高校でも、ラ・サールOB間で起業について相談できる「ラ・サールベンチャー道場(通称ラサベン)」という例があるとのことで、うらやましいという声が。それを受け、西大井創業支援センター内に起業部開設の機運が高まりそうです。

こうして約2時間、「学生×起業」をキーワードに、実のある情報共有ができたようでした。
西大井創業支援センターでは今後もこのような、起業に役立つイベントなどを随時行っていきます。また、創業をお考えの方ならどなたでも利用できる無料相談も受け付けていますので、気軽にお問い合わせください。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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