【イベントレポート】「スタートアップ×大手企業 オープンイノベーション・ミートアップ」 ~スタートアップにとっての“大企業連携”活用の秘訣とは!?

イベントレポート 2023.8.4

【イベントレポート】「スタートアップ×大手企業 オープンイノベーション・ミートアップ」 ~スタートアップにとっての“大企業連携”活用の秘訣とは!?

開催日

2023年06月26日

会場

品川産業交流支援施設SHIP

参加費

詳細

品川区では、大手企業の投資・新規事業担当者などがメンターとなり、スタートアップの課題を解決する「スタートアップアドバイザー事業」を実施しています。その相談内容としてよく寄せられる「大手企業との連携の進め方」をテーマとして、6月26日、品川産業交流支援施設SHIPの多目的ルームにて本イベントが開催されました。その内容をレポートします。

大手企業の社内事情を知って、双方にプラスとなる連携をアピール

今回のイベントでは、スタートアップとの連携や投資に取り組んできた大手企業4社の担当者を招き、「連携における大手企業ならではの視点や、連携を進める上での難所、重要なポイント」について約30分のパネルディスカッションを実施。また、その後に登壇企業との個別相談もできるとあって、大手企業との連携や投資に興味・関心のある約20名もの起業家がイベントに参加していました。

それに先立ち、ファシリテーターを務める㈱ゼロワンブースター(※注) 代表取締役会長の鈴木規文氏がイントロダクションとして「スタートアップにとっての“大企業連携”活用の秘訣」をレクチャーしてくれました。

(※注)ゼロワンブースターは起業家の事業化支援や地域における事業創造支援で定評があり、スタートアップと大手企業の連携支援でも多くの実績を誇る会社。品川区が主催する「五反田バレーアクセラレーションプログラム」のプロデュースも2022年度より行っています。

スタートアップの聖地といえばシリコンバレーですが、イノベーションの歴史を見ると特定の地域で起きやすいわけで、ではどういう場所がスタートアップにとって望ましいのか。

アナリー・サクセニアン著の『現代の二都物語』では、既存企業の権益保護を続けたボストン周辺からシリコンバレーに人材が流れ、イノベーションの中心地となった経緯を分析しています。それは情報交換がオープンで、失敗やチャレンジが尊重され、相互協力が鼓舞されたからであり、このように環境がイノベーションを促進するのだそう。

そして、五反田バレーも手頃な家賃や交通の便などの環境要因でスタートアップの集積が始まりましたが、起業家任せではいけない。120年前にシュンペーターが『経済発展の理論』で語ったように、イノベーションは既存企業や銀行、行政、地域全体で創るものだといいます。つまり、行政や大手企業によるアクセラレーションプログラムも、起業家が居心地の良い居場所をつくるためのもの。今のメガベンチャーも創業期にそうした支援を受けたからこそ成長ができたのです。

一方で、馬田隆明著の『成功する起業家は居場所を選ぶ』によれば、「実際にサポートを受けられるかどうかよりも、必要になった時に受けられると期待できるかが重要」だとのこと。スタートアップにとっては目先のベネフィットよりも、必要な時に得られると期待できるサポーティブな環境こそが大事だというわけです。

こうしたイントロダクションを受け、「大企業ではどのようにスタートアップとの連携を行っているのか」を探る流れでパネルディスカッションに入り、登壇4社による、スタートアップと連携する狙いや現況の紹介から始まりました。

登壇したのは、㈱明治 経営企画本部イノベーション事業戦略部部長の牧徹氏、田辺三菱製薬㈱ デジタルトランスフォーメーション部グループ長の徳冨浩二氏、㈱セブン銀行 戦略事業部グループ長の中田裕朗氏、ちゅうぎんキャピタルパートナーズ 取締役の石元玲氏の4名。

各社とも既存の中核事業からは離れ、新たなチャレンジの種を求めてアクセラレーションプログラムの運営や投資活動を行っている様子が語られました。そして話は、「そのようなオープンイノベーション活動が社内ではどのように見られているのか」「理解や認知を阻害するのは何か」「スタートアップとの連携で実際に成果は得られているか」と、核心に進みます。

これに対し、「社内でコンセンサスを得られるよう、各部署で理解者をグリップするようにしている」「トップは理解していても、中間管理職からは“当社のメリットは?”と詰められやすい」「スタートアップとの協業に興味あるメンバーは非常に増えたが、具体的に推進するスキルはまだ未熟」「最初は『リスクをとれ』といわれ、やがて『収益はまだか』となる。その波の繰り返し」「提携の実現性を考え、シード期では直接投資から、VCを介したLP投資へと重心をシフト」といった実情が明かされました。

とはいえ、大手企業のなかで変化を求め、スタートアップとうまく連携したいという流れは着実に起きており、登壇された担当者らのように大変な努力がなされ、経験値が積まれていることが改めて分かりました。そうして最後に鈴木氏が「まだまだ時間はかかるが、スタートアップの皆さんは『Just Start』の精神で、行動を止めないでほしい」と、起業家教育で名高い米国のバブソン大学学長の言葉を引いて、パネルディスカッションは締めくくられました。

その後は休憩を挟み、希望者が登壇各社の担当者と個別面談を行いました。各10分の設定ですが、自身の事業を紹介し、アピールして、協業や連携、出資などの可能性を求めていくため、どのテーブルでも白熱した対話が繰り広げられていました。事前申込制でしたが、当日に希望を出してセッティングした面談も多く、相談件数は20件超に。これを機に、新たな連携が期待できる会となりました。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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