【イベントレポート】オープンイノベーション事例を共有し、共創や協業のきっかけ作りに「五反田バレーアクセラレーションプログラム2023 スタートアップ×大手企業の連携交流会」

イベントレポート 2024.4.30

【イベントレポート】オープンイノベーション事例を共有し、共創や協業のきっかけ作りに「五反田バレーアクセラレーションプログラム2023 スタートアップ×大手企業の連携交流会」

開催日

2024年02月29日

会場

品川産業交流支援施設SHIP 多目的ルーム

参加費

詳細

品川区が実施している、スタートアップや起業家の事業成長支援プログラム「五反田バレーアクセラレーションプログラム」の第4期は、2023年9月から2024年3月まで開催。そのなかで自由参加イベントとして、本プログラムのパートナー団体とスムーズに協業ができるよう、スタートアップとの連携事例を紹介する交流会が企画されました。2024年2月29日に品川産業支援交流施設SHIPの多目的ルームにて開催された、その様子を紹介します。

JTB、学研、東急の3社がスタートアップとの連携事例を紹介

「五反田バレーアクセラレーションプログラム2023」ではスタートアップや起業家の事業成長を支援しており、17のパートナー企業・団体がさまざまな特典を提供しています。今回はそのパートナー企業から、株式会社JTB、株式会社学研ホールディングス、東急株式会社の3社が参加し、各社におけるスタートアップとの連携などの取り組み事例を紹介して、12名の参加受講者との交流・連携の機会がもたれました。

まず、3社から各25分ずつ登壇し、スタートアップと連携する目的や意図、実際の取り組み事例などを紹介。質疑応答を行って、最後に情報交換・交流会という形で進められました。

1社目の株式会社JTBは、旅行代理店のイメージにとどまらず、交流創造産業として、JTBならではの商品・サービス・情報・仕組みの提供により、地球を舞台にあらゆる交流を創造していこうとしているとのこと。今回は、その表れの1つである訪日インバウンドビジネスでの協業・出資について、説明がありました。オーバーツーリズムへの対応など、幅広い領域で事業シナジーを求めており、2023年度にはスタートアップ200社との面談を経て、数十社と面談・商談を進行中。その領域は、Web3.0系、AI&ロボット系、飲食・ナイトタイムエコノミー系、通信・インフラ系、SDGs系、メディカル&ヘルス系など多岐に渡ります。そのなかで2023年4月、ガストロノミーツーリズム推進を目的に、訪日外国人向けフードプラットフォームを運営するスタートアップに出資した事例が紹介されました。同社との共創で、地方での食体験プログラムを開発・販売を準備中で、さらにライドシェアやQR決済などのスタートアップとも連携してエリア一体でDXを進め、訪日外国人にストレスフリーな環境整備を目指したいとのこと。また、このような新たな取り組みを掲載している公式noteや、外部パートナー募集をするサイト「JTB Tourism Lab」も合わせて紹介されました。

2社目の学研ホールディングスの事業ポートフォリオは現在、学習・教育領域と、医療・福祉・介護領域がほぼ半々。教育では、塾というリアルなタッチポイントが全国に約9000教室あり、オンライン・対面のハイブリッド展開も模索中。出版では、紙媒体で培ったコンテンツや編集力の電子媒体への展開が課題。医療・福祉・介護では、認知症の予防や事前検知のサービス化や、介護現場の負担軽減や効率化が課題とのこと。スタートアップ支援としては、2021年1月にCVCを立ち上げて累計5社に出資しており、うち2社の事例が紹介されました。1社目は、スポーツと教育支援のアプリ開発会社で、評価ポイントは、まず試合・練習動画に書き込みをして振り返るプロダクトに対して、探究学習への活用を期待したこと。また、スマホで撮影した動画にマーカーレスで動作分析ができるアプリに対して、運動能力向上や高齢者リハビリなどへの展開が見込めたとのこと。社内で通す上では、すぐ具体的に協業できる点が大きかったのと、単発ではなく3ステップで協業計画を提示(体育DX・探究学習パッケージの提供→データに基づくソリューションの提供→パーソナライズされたコンテンツの共同開発)したそうです。2社目は探究学習の老舗スタートアップで、非認知能力向上のサービス開発に向け、実証実験を進行中。学習意欲やモチベーションの源泉を探ることで、単に勉強を推進するだけではない世界観を提供できるサービスを学研として増やしていきたいとのことでした。


3社目の東急では、2015年に立ち上げたアクセラレートプログラムを前身とするTAP(東急アライアンスプラットフォーム)で、グループの誰もが参画可能な事業共創機会の最大化を図っています。東急電鉄、東急エージェンシー、東急百貨店、東急不動産、itscomなど、28事業者・21領域で顧客接点・アセットを活用できるのが特徴。また、事業共創をスピードアップさせるため、常時受付・毎月選考で共創準備が整い次第、随時PoCを実行する仕組みとしています。具体的には、毎月1日にスタートアップからのエントリーデータが28事業者に展開され、月2回参画メンバーが会議で各社の対応を調整し、第4金曜のピッチで質疑含めディスカッションを実施。節目として年度末にDemoDayを開催するというサイクルです。事業フェーズとしてはサービスのプロトタイプがあることが最低条件。マッチングの精度を上げられるよう、TAPのホームページで対象領域ごとの課題・ニーズを随時更新したり、オウンドメディア「TAP Library」で共創事例や関係者のインタビューを掲載しています。また、2023年9月には新たな取り組みとして、鉄道横断型社会実装コンソーシアムJTOSを運営開始。JR東・小田急・西武との4社でスタートアップ探索を分担し、選定後の実証実験では4社でアセット提供・費用分担を実施。東急単独では難しかったと思われる共創事例も出てきているとのことでした。

次いで3社に対する質疑応答があり、スタートアップからの相談窓口の確認などを経て、軽食やアルコールも手にしながらの交流タイムとなりました。名刺交換や情報交換が活発になされ、協業のイメージも湧いて、有意義な時間となったようでした。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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