【イベントレポート】大手金融機関のスタートアップ支援を、自社の資金/協業ニーズに活かそう!「五反田バレーアクセラレーションプログラム2024 金融機関勉強会」

イベントレポート 2025.2.28

【イベントレポート】大手金融機関のスタートアップ支援を、自社の資金/協業ニーズに活かそう!「五反田バレーアクセラレーションプログラム2024 金融機関勉強会」

開催日

2024年12月18日

会場

五反田産業文化施設

ギャラリー

参加費

詳細

「五反田バレーアクセラレーションプログラム」では2025年3月までの約6ヵ月間で、起業に向けたマインドセットや広報戦略、資金調達のポイント、先輩起業家との交流会といった研修を行っています。さらに自由参加イベントとして、受講スタートアップと金融機関が直接交流できる「金融機関勉強会」が企画されました。2024年12月18日に五反田産業文化施設のギャラリーにて開催された、その様子を紹介します。
 

各社3分のピッチで、事業フェーズや融資/出資/協業ニーズをアピール

第一部では、本プログラムのパートナー企業である三井住友信託銀行株式会社より、同行が毎年実施している、国内スタートアップ企業を対象とした国内最大級のスタートアップ実態調査「スタートアップサーベイ」の最新調査結果(一部)が紹介されました。
「事業戦略」「資金調達」「上場準備」「資本政策」「人材戦略」などに関する国内スタートアップの取り組み状況を概観できるため、同じようなステージにある企業の現況や先輩スタートアップの過去の施策・判断などを参考にすることができます。参加した受講者も熱心に聞き入っている様子でした。

第二部では、まずスタートアップが1社3分でピッチを行い、次に金融機関が1行8分で支援・連携の内容や融資以外の共創可能性について発表。その後に直接、情報交換の時間が持たれる形で進められました。
参加のスタートアップには、プログラムの過去受講者や品川区の創業支援施設の入居者なども含まれ、それぞれが自社とサービスの紹介をするとともに、資金調達の状況や目的、展望、そして金融機関との協業・連携への期待などが熱く語られ、各社の参加目的として、下記のような点が挙げられていました。

・自社プロダクトのAIマーケティング・PRのニーズがある中小企業や店舗の紹介を希望
・ステーブルコインによる次世代決済エコシステム構築に向けた連携を希望
・企業の人事・総務担当者に従業員満足度、人的資本経営などにおける需要ヒアリングへの協力を希望
・サービス検証の実証実験のために空きスペースなどを提供してもらえる企業の紹介を希望
・法人設立前だが、どのようなビジネスモデルや実績であれば融資が可能かなど、意見交換を希望
・10年間、ヘルスケア業界でコンサルビジネスを行ってきて、新たに開発中の売上予測等システムのリリース前後の資金調達を検討しており、相談を希望

各行のスタートアップ向け融資/出資、ビジネスマッチングの現況を紹介

次いで、金融機関3行より順に、スタートアップ支援メニューの紹介などが行われました。

まず、株式会社三菱UFJ銀行より五反田支店が登壇。支店をハブに、MUFGグループ一体で総合的なソリューションを提供できるのが強みとのこと。銀行といえば融資のイメージですが、同グループの三菱UFJキャピタルではエクイティファイナンスについてもシードからレイターまで、年間約100社に実施。そのほか、銀行の取引先同士のビジネスマッチングとして、スタートアップの新規顧客開拓や実証実験に向けた支援、スタートアップ同士の協業などのサポートも可能。
また、今後の成長が期待される分野の事業を行うスタートアップを表彰するプログラム「Rise Up Festa」を毎年開催して、最優秀/優秀企業を選出し、特典として事業支援金や大企業の紹介などを提供しているとのこと(2023年のテーマは、「サステナブル」「健康社会」「既存産業のDX」「都市・暮らし」)。
最後にエクイティファイナンス、デットファイナンス、ビジネスマッチングの概略に触れて、紹介を終えました。


次に、株式会社みずほ銀行よりイノベーション企業支援部が登壇。同行では10年以上前から同支援部の前身組織でスタートアップ支援を実施。現在は、IT・デジタルのグロース/スタートアップチームと、ディープテックの担当チーム、会員制サービス「M’s Salon」などの企画運営や大企業連携の担当チームという体制で支援を行っているとのこと。
また、各ステージにあわせて成長資金支援を行うなかでも特にプロパー融資に注力。個社だけでなく業界を見ている「イノベーション企業支援部」のカバレッジと、スタートアップ専門の審査セクション、LP出資先「親密VC」の知見により、リスクテイク度合いを強化できているといい、あるスタートアップに対する総額22億円のプロパー融資事例が紹介されました。
そのほか、同行の即戦力プロ人材がプロジェクト単位で課題解決に取り組むコンサルティングサービス「みずほプロシェアリング」も紹介されました。

最後に、株式会社日本政策金融公庫より五反田支店が登壇。スタートアップの事業計画を見るうえで重要視するポイントの例として、「創業動機」「技術・人脈」「市場性・成長性」の3点が挙げられました。また、出資と違い、融資における評価ポイントとして、マーケットでは売上の見通し、ビジネスモデルでは収益力や持続性、リターンでは償還確実性が挙げられました。
そしてスタートアップ向け融資制度として、新たに事業を始める方から事業開始後おおむね7年以内の方向けの「新規開業資金」と、事業化まで時間を要するなどの理由で当面の返済負担を軽減したい方向けの「資本性劣後ローン」が紹介されました。

その後は交流会となり、個別に名刺交換や相談、情報交換がなされていました。各行、登壇者以外にも複数の担当者が参加しており、その場で具体的な話が進められていた様子。また、スタートアップ側もあらかじめ事業内容や進捗、資金調達ニーズについてピッチで伝えてあるため、各金融機関に対しても相談がしやすく、それぞれが求めている情報が円滑に得られるなど、短い時間でも密度の濃い話ができているようでした。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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