【オンラインイベントレポート】「SHINAGAWA イノベーションフォーラム 2021 in 五反田バレー」 ~15企業/団体が、ニューノーマル時代の DX 戦略におけるデジタル技術やビジネス現場での利活用事例を紹介
開催日
2021年1月15日(金)
10:00~18:15
会場
オンライン開催
EventHubを利用
参加費
無料
詳細
2017 年度より情報通信業の交流・連携の促進に取り組み、新たなビジネスの創出やビジネスチャンスの獲得を支援している品川区。その取り組みの一貫として、2021 年 1 月 15 日に オンラインシンポジウム「SHINAGAWA イノベーションフォーラム 2021 in 五反田バレー」を開催しました。
大手企業から五反田バレーのベンチャー、スタートアップ企業まで、15社が、組織運営やオフィス/テレワーク環境、テクノロジーから生まれたデジタル認証などの新たなビジネス領域、小売業におけるオンライン/オフラインのコミュニケーション改善など、事例をまじえて紹介。その内容をダイジェスト的にお伝えします。
働き方やビジネス創出における、DX のリアルな事例が目白押し
開催当日は 10 時から 18 時 15 分まで、随時休憩を挟んでオンライン配信された、「SHINAGAWA イノベーションフォーラム 2021 in 五反田バレー」。会場となった大崎・ブライトコアホールでは3つの大スクリーンが配され、登壇者がかわるがわる前に出てスピーチがなされました。
プログラムは、本フォーラムを主催する品川区 遠藤 商業・ものづくり課長の挨拶でスタート。フォーラムの副題である「ニューノーマル時代における DX 戦略の新潮流」に沿って、東京大学大学院准教授の高木聡一郎氏による基調講演「デフレーミング概念から見る DX の 本質と今後の展望」を挟みながら、品川区や五反田バレーに縁のある大手企業やスタートアップ企業が DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進事例を、以下のテーマごとに紹介していきました。
●「社会・産業のデジタル化(ビジネストランスフォーメーション)」
元 味の素取締役専務執行役員の、(社)企業情報化協会 特別顧問 五十嵐氏は改めてデジタル化や DX の定義や構成要素を確認した上で、DX を進める上でのポイントとして、アジャイルで進めることやリーダーが経営トップや関係者を巻き込む力を持つこと。また、自前主義を捨ててエコシステムを活用していくことなどを示してくれました。また、全日本空輸株式会社(ANA) イノベーション推進部 部長 野村氏は同社がイノベー ション推進部を中心に 2017 年よりチャレンジしている、システム環境や業務プロセス、組 織文化、人財にまつわる変革の取り組みを紹介。RPA や AI など複数のデジタル技術でソリューションを生み出し、データ起点でビジネスデザインを行うという、独自の「イノベーションハニカム」という考え方を披露されました。
●「組織運営・働き方のデジタル化(フューチャー・オブ・ワーク)」
このパートでは、株式会社日立ソリューションズが、テレワークに関連する最新のアンケート結果を紹介。「2020年11月の実施率は全国平均24.7%」「大企業の実施率が高い」「コロナ収束後も続けたい78.6%」など。その上で、同社が取り組んでいるテレワークの制度やサテライトオフィスの利用、コミュニケーションツールの活用といった、テレワークの工夫点が語られました。さらに、コロナ禍の影響への対応として、テレワーク環境の整備やルールの変更、サーベイによる従業員のケアについても紹介されました。
次いで、スタートアップ企業の株式会社ヒトカラメディア、アディッシュ株式会社がそれぞれ「チームが働く場づくり」と「データリテラシー向上」について、自社の取り組みを紹介。
●「デジタル化に対応したビジネス創造(デジタルエコノミー)」
ここでは、銀行口座開設や法人在籍確認など活用シーンの増えているデジタルによる本人確認(eKYC)サービスの TRUSTDOCK 株式会社、ブロックチェーン技術によるデジタル証明書の社会実装を進める LasTrust 株式会社、葬儀や供養のライフエンディング業界で CRM ツールや LINE、Salesforce を活用してユーザーとのコミュニケーションや僧侶の自動手配サ ービスを飛躍的に改善させた株式会社よりそう、の IT スタートアップ企業 3 社が、デジタル技術にフォーカスして自社ビジネスを紹介。「香典の EC 化を目指したい」といった未来像も示されました。
●「顧客との関係のデジタル化(カスタマーエンゲージメント)」
最後のパートでは、E コマースや小売店舗におけるオンライン/オフラインの接客体験/サービスの向上をデジタルで実現し、ビジネスを行っている IT スタートアップ企業 3 社が登壇。 ブランドファンができる店舗に対して、価格や利便性でより良い条件があれば他に容易に乗り換えられやすい EC サイトにおいて、チャットボットと有人対応を組み合わせて顧客化を支援している株式会社空色、0 円で本格的なネットショップを開設・運営できるサービス(STORES)を提供するヘイ株式会社、そして、EC と実店舗の在庫管理情報などをつないだ顧客満足度の向上や、デジタルメディアによる店舗の商圏拡大の実現などにより、小売店舗の DX による課題解決を図る株式会社 Pathee が、市場のデータや/自社サービスの導入事例などでリアルな現状を伝えてくれました。
また、途中、品川区が本年度実施している「AI・IoT 活用イノベーション創出支援事業」の成果発表がありました。東京システムハウス株式会社による成果発表では、戸越銀座商店街で、高齢者も多く SNS は使いこなせない実情から、昔ながらの「回覧板」のように使える電子掲示板を開発し、好意的に利用してもらえた体験を紹介。株式会社ハイボットは動画による報告で、社会インフラ点検・維持ソリューションに関する成果を伝えてくれました。
その後、本フォーラムを共催した東京商工会議所品川支部による ICT 利活用推進事業について、ICT 活用事例集の発刊・配布および ICT 利活用推進セミナーやシンポジウムの開催予定について、案内もされました。
そうして本フォーラムを締めくくったのは、一般社団法人五反田バレー代表理事の中村氏。 コロナ禍でリモートワークが進み、オフラインでの活動以外にも、五反田バレーのあり方 自体を見直していると語られました。また、品川区の支援により、五反田バレーの各社が 持つ DX ツールを区内の商店街に使ってもらうことで、地元を盛り上げ、各社の成長にもつながっていることを紹介。そうしたことをふまえ、「コロナ禍を新たなイノベーションを 生むきっかけにしよう」という、力強いメッセージで幕となりました。
オンラインマッチングツールで講演者との面談がセッティング可能
参加費無料のこのフォーラムでは、視聴はオンラインを通じてのみですが、オンラインマッチングツール「EventHub」を利用して、講演企業との面談がセッティングできるようになっています。そのため登壇者による一方的な発表の場になってしまうこともなく、より視聴者を意識しながら、発表後の質問や交流を勧める様子が見受けられたのが印象的でした。