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インタビュー 2021.6.24

街とつながるチャレンジショップやコラボレーションスペースが新装オープン!「武蔵小山創業支援センター」通称「MUSAKO HOUSE」がパワーアップしたポイントを聞いてみた

2010年8月に開設され、女性の起業や事業を後押ししてきた武蔵小山創業支援センター。「つどう つながる そだつ」という運営コンセプトのもと、品川区在住・在勤を問わず、品川区で事業展開を志す起業準備者のために、起業塾やセミナー、各種イベントを企画・開催し、アドバイスをくれる専門家との橋渡しなどを行ってきました。

今回は、2021年3月にリニューアルした設備・スペースでさらにパワーアップした同センターの支援について、センター長代行として現場を取りまとめている藤井あい子さんに伺います。合わせて、チャレンジショップを利用する3人の創業体験談もお届けします。

 

(プロフィール)

藤井 あい子さん

品川区立武蔵小山創業支援センター センター長代行

立命館大学経営学部起業家養成コースを卒業後、マンションデベロッパー・ウェディング業界・子育て支援企業にて従事し、一貫して人の人生の大きな転機に関わる。結婚を機に地元大阪から品川区 武蔵小山に移り住み11年。出産を経て、女性の活躍支援に起業というアプローチから邁進中。「女性のための起業スクールMU★SAKO」5期生。起業家の「本気の想い」に応えるべく、2016年武蔵小山着任、2019年より現職に就任。

センター長代行の藤井さん

 

通りがかりの人もフラリと入りやすく! コラボの推進で起業したてを支援

―リニューアルされたポイントを教えてください。

藤井

1階の「チャレンジショップ」が、大きく生まれ変わりました。品川区内で起業を目指す人に、商品を販売・PRしていただける期間限定の貸し店舗スペースは、これまでも3店舗あったのですが、今回、それらを一つの空間にして一体で運営する形をとりリニューアルいたしました。また視認性を高めるためガラス張りにし、新機能も追加しオープンいたしました。設立して10年経つ中で、武蔵小山駅前が開発され新しい建物が目立つ中、地域の方へチャレンジショップや5階にある武蔵小山創業支援センター自体の認知を高めたいという課題に応えるため、2年前に計画を立ち上げられました。新型コロナウイルス感染症の影響で工期が多少遅れましたが、2021年3月にオープンすることができました。おかげで地域の方から興味を持っていただけて認知も上がり、センターへの登録や問い合わせも増えています。

―スペースを「シェアする」というのは、今どきな感じですね。

藤井

そうですね。そうした世の中のトレンドは意識しました。実際、広く明るくして注目を集める以外にも、出店する起業家が女性が中心ということもあって、育児や家事を行いながら起業をスタートしやすい取り組みを行っています。この建物内の保育園にお子さんを預けている出店者もいらっしゃいますね。ですので、この場を少し離れたり通院などで遅れたりするときも互いに協力して、代わって接客もされています。また、ショップは、土日祝日もオープンしているので、3者交代で休みの日も決めて運営されています。決まったルールはなく、日々のやり取りの中や、月に2回行っている3店舗合同ミーティングの中で、皆さんの意見を出し合いながら決定し運営を決めています。お互いに助け合うムードがある感じです。

支援センターの愛称「MUSAKO HOUSE」と大きく書かれた、ブランドカラーであるターコイズブルーのエントランスが交差点で目を惹く

―壁をなくして、広々と明るくなったのですね。大きなテーブルもあります。

藤井

ショップのお隣には「コラボレーションスペース」といって、起業家同士の交流やワークショップに使ってもらえるスペースが誕生しました。スライドを投影できるモニターもあり、テーブルのレイアウトも自由なので、撮影でも商談でも、創業段階の人への支援になることであれば、貸切予約を行っていただき、有効に使っていただけます。

たとえば、もともと5階の会議室で開催していた「ムサコDE女子★交流会」も今はこちらのスペースでやっています。女性同士がワイワイと交流している様子を、通りがかりの方にも興味を持っていただけます。また、チャレンジショップ出店者がここでワークショップをすると、商品も近くにあるので話が広がります。逆に、店頭で接客しながら「今度そこでワークショップをやるんですよ」などとご案内もできます。いろいろと相乗効果が期待できますね。

5階の会議室もリノベして、壁やブラインドをナチュラルに

―品川区エリアのイラストマップは、インスタ映えしそうですね。

藤井

それをちょっと狙って、ベンチシートのある壁面コーナーを作りました(笑)。全体にデザインは、品川女性起業家交流会、通称しなjobという老舗のNPO法人に意見をもらいながら作りました。デザインのプロの方から、女性目線の心地よい空間・一歩先を行くオシャレな、居心地の良い空間づくりにお力添えいただきました。

―そして、その向かいにあるのが「デザインファクトリー」です。こちらも新設ですね。

藤井

はい。もともと起業支援の指導をするなかで、ブランディングを考えることを推奨していますが、ここではそのための名刺やパンフレット、POPなどの販促物を作っていただけます。イラストレータやフォトショップの使える大型モニターのデスクトップパソコンが2台と、A2サイズまで出力できるプリンターが使えます。チャレンジショップの出店者も、店頭に置くポスターをここで作っていますね。POP用のマーカーのような文具やA3サイズのラミネーターなども置いてあって、便利だと好評です。起業支援のセミナーでブランディングやそのためにツール作りの大切さを知ったら、ここで実践できる。そんなデザイン工房となっています。

ポスターは、奥のデザインファクトリーで作ったもの。季節でメッセージを変えたりも

―今後の展望をお聞かせください。

藤井

単なるレンタルスペースではなく、起業した後にどうビジネスを軌道に乗せていくのか、どうアピールしてお客様とコミュニケーションしていくのかを実践していける場所として生まれました。地域とのつながりもこれまで以上にできてきていますので、引き続き適切に感染対策を行いながら、利用するみなさんがより良い事業展開を考えていけるよう、しっかり支援していきたいですね。

アントレーヌに参加したママ友の勧めで出店。来店客との出会いで新たな展開も

―ここからは、リニューアルしたチャレンジショップで自身のブランドを展示・販売されている3人に伺います。まず、入って右側のスペースを使われているマラマ合同会社の荒井有生さん、malamaはどんなブランドですか?

荒井

オリジナルの薬膳茶を展開していて、メイン商品は無添加・無加糖・オーガニックのハーブ、ドライフルーツとブレンドした薬膳茶入りのタンブラーです。「ヒーリング」「集中」「スッキリ」など効能ごとに7種類あり、リフィールや薬膳茶のみのティーバッグ、ドライフルーツの単体でも提供。そのほか、ペットと一緒に食べられる薬膳おつまみなど、ペット用もラインナップし始めています。

マラマ合同会社の荒井有生さん https://www.malamajapan.com/

―創業ストーリーをお聞かせください。

荒井

もともと海外生活が長く、カナダで中国人と飲食店を営んだりした後、5年前に帰国してゲストハウスを経営していました。結局、民泊法の改正やコロナ禍で難しくなって止めたのですが、その前に出産後の不調を薬膳茶とスープで改善できた経験から、薬膳茶の商品開発で起業。薬膳茶入りタンブラーが口コミでウエディングの引き出物や誕生日プレゼントに使ってもらえたので、さらに軌道に乗せるため2021年に入ってクラウドファンディングに挑戦したり、このチャレンジショップに申し込んだりしたんです。ちなみにクラファンはホワイトデー向けで12日間の短期ながら107%で達成。発送作業はひと苦労でしたが、いい経験でした。

―チャレンジショップに申し込んだきっかけは何ですか。

荒井

ママ友が、このセンターが主催する「ウーマンビジネスグランプリin品川」やパルム商店街近くで2日間テスト出店できる「羽ばたけ!☆アントレーヌin品川」に参加していて、自分で物販ビジネスをやるならと勧めてくれたんです。そこで3年前にアントレーヌに出ようと思い、準備セミナーも受講したのですが、第3子を妊娠して見送り。最近になって再挑戦したら、2021年1月開催予定だったアントレーヌがコロナの影響で中止に。そんなときにここを知って、とりあえず3ヵ月やってみようと応募したんです。

―実際に2021年3月からチャレンジショップをやってみて、いかがですか。

荒井

実際お客様と話ができるのはいいですね。この2年くらいは家でずっとパソコンに向かっていましたが、今とても楽しいです。更新しようと思っていて、最長6ヵ月ですが、お店を持つ夢が広がりました。移動販売車で薬膳スープをメインの展開も検討しています。

改めて感じたのは、ネット販売だと競合が多くて埋もれますが、チャレンジショップだと通りがかりの人からも縁が広がったりするということ。実際にたまたま来店された方が結婚式場にお勤めで、お茶で縁をつなぐ企画を進めておられ、コラボの話が出ています。そのほか、ここで知り合った鍼灸師や韓国で人気の餡フラワーの先生などとコラボして、ここでワークショップも行いました。さらに良い縁をつないで、将来のビジネスに役立てたいです。

POPなどで展示も工夫して

趣味から始まった、かごバッグ製作。ショップへの参加で経営意識も向上

―では、お2人目、中央のスペースに出店されている、I am(アイアム)の貝塚尚子さん。バッグですが、どんなブランドですか。

貝塚

軽くて丈夫でおしゃれな、手編みのかごバッグです。シンプルなものを一緒に作るワークショップも行っていて、ノウハウ本も出版しています。もともとオリジナルのデザインで作ったバッグや雑貨を展示会やイベントで発表・販売しており、ここではコラボレーションスペースでワークショップも随時開催しながら、オーダーメイドも含めて販売を行っています。犬の図案やアルファベットの入ったものは特に人気で、ペットの犬種でのオーダーは今10件ほどお待ちいただいている状態です。

I am(アイアム)の貝塚尚子さん https://iamkagobag2012.amebaownd.com/

―創業ストーリーをお聞かせください。

貝塚

13年前、2008年に犬を飼い始め、しつけ教室で餌を入れるバッグを作って使っていたら、周りで評判に。それで作ってあげるうちに、地元のコミュニティセンターで教えるようになりました。2012年頃からはハンドメイド作品の展示会に出展したり、手作り品の販売サイトに出品をスタート。OLをしながら、趣味的に活動していました。やがて結婚を機に品川区に転居。出産して製作活動は抑え目でしたが、たまたま女性週刊誌にバッグの作り方を取材されたらその記事が評判で、2020年4月には実用書を出版できました。ママ友がレジンアクセサリーの先生をやっていてワークショップに参加したときに、今度コラボしようといってSNSのグループができたんです。そのなかの1人がリニューアル前のチャレンジショップに入っていて、ここを知りました。

―チャレンジショップに申し込んだきっかけは何ですか。

貝塚

友人のチャレンジショップを手伝って店番をしたときに、ここでもワークショップができると聞き、創業支援センターに登録しました。それでメルマガでアントレーヌのことを知って販売にも力を入れてみたくなり、応募。コロナで開催中止となった代わりにチャレンジショップを案内されたのですが、一定期間出店するのは、子どもが2歳と小さいので悩みましたね。応募書類として3年分の収支計画を立てねばならないのもハードルでしたが、チャンスだからやるだけやってみようと挑戦。苦労して書類をつくったり、面接の準備をするなかで、落ちたら悔しいという気持ちが高まりました。その甲斐あって出店が決まってからは喜ぶ間もなく、商品の数を揃えるため必死に編みまくりました(笑)。

―実際に2021年3月からチャレンジショップをやってみて、いかがですか。

貝塚

子どもがいるので期間は短めの6ヵ月にしましたが、同じ建物内の保育園に預けられたので、更新しようと思っています。他の2人とも協力して、互いの不在時に代わりに接客や販売ができるのも有難いです。何より、商品に対するお客さんの反応が直接分かるのが役立ちますね。実際に改良のアイデアをいただけたり、オーダーの内容で消費者ニーズがつかめましたが、これはネット販売では気づけないこと。コラボレーションスペースが空いている時はそこで製作もしているので、その様子を見て興味を持たれる方も多いです。

また創業支援センターからは、商品として魅力的に見える展示のし方なども教えてもらい、勉強になりました。自分でもいろいろ工夫するようになり、母の日用に生花とセット販売したときは初めて配送も受けたら、30セット売り上げられました。今後は配送作業も含め、アルバイトの人件費が出るくらい、売上や利益を確保するのが目標。チャレンジショップでより経営への意識が高まり、欲も出てきました。起業家だと胸を張っていえるようになりたいです。

著書『3時間でできる かごバッグ』(主婦と生活社刊)

客層が分かり、商品開発もステップアップ。武蔵小山でお店を持つ夢に一歩近づけた

―では最後に、左側のスペースに出店の、RIELE(リエル)の山崎圭未さんです。アクセサリーですが、どんなブランドですか。

山崎

コンセプトは、毎日の耳元をさりげなく上品に「笑顔咲くイヤリング。」で、長時間つけていても痛くなりにくく、金具も軽量化してピアス見えするのが特徴です。30~40代の働く女性がメインターゲットで、淡水パールや天然石で質感があり、色味も落ち着いたものをセレクトしています。

RIELE(リエル)の山崎圭未さん https://www.riele.jp/

―創業ストーリーをお聞かせください。

山崎

もともと10年以上アパレルの販売員をしていて、お客様をトータルコーディネートする時に、ピアスを開けていない方だとイヤリングのデザインや使用感に不満をもたれていて、マッチする商品が見つけられないのを課題に感じていました。それで自分で作り始め、徐々にハンドメイド作品の展示会などに出展。最初は友人とブースを分けて、そのうち1人で出すように。並行して始めたネット販売では1年してもなかなか売れず悩みましたが、2019年に銀座でポップアップストアをやる機会があり、お客様の声でがんばろうと思えました。

―チャレンジショップに申し込んだきっかけは何ですか。

山崎

インスタグラム用の商品撮影をしに武蔵小山に来たときにチラシを見て、創業支援センターを知りました。それまで販売はベテランでも、値付けや利益の出し方、ブランディングのことなど分からなかったので、3ヵ月の「女性のための起業スクールMU★SAKO」に参加。修了後に出展した2020年1月の「アントレーヌ」でグランプリをいただき、そのご縁で百貨店の催事に出たりしながら、自宅からも近い武蔵小山で出店できないかと思っていたところ、手頃な利用料で挑戦できるチャレンジショップのことを知り、申し込みました。

―実際に2021年3月からチャレンジショップをやってみて、いかがですか。

山崎

まず、武蔵小山の客層が分かったのが大きいです。商店街があるのでやや高めの購買層が中心だと思っていましたが、RIELEのターゲットである30~40代の働く女性も十分におられ、むしろ質の良いアクセサリーショップが他に少ないため、ネット販売よりも商機があると自信がつきました。また、お客様の反応を見て、リングやネックレスなどセットで購入もできるものや、年配の女性向けに大ぶりのデザインも取り入れるなど、商品開発のヒントが得られています。値付けも様子を見ながら勉強中。出店期間は1年ですが、もう1年更新する予定。創業支援センターのアドバイスで、ネット販売も強化を図りながら、いつか武蔵小山で自前のお店ができるのを目指しています。

高級感や質感、高低のリズムを意識したディスプレイ

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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