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インタビュー 2020.12.16

ものづくり品川区らしい「コワーキングスペース×3D工房」で創業やビジネスを強力にバックアップする、SHIPの魅力に迫ってみた

かつて駅前に並んでいた工場跡地の再開発により、すっかり都会的な街並みとなった大崎駅。今回紹介する「品川区立品川産業支援交流施設 SHIPは、線路をまたぐぺデストリアンデッキが延びる山手線の内側、目黒川を越えたあたりに位置しています。新東口から徒歩5分という好立地。大崎駅自体、湘南新宿ラインやりんかい線、2019年11月には相鉄線も乗り入れて、ターミナル駅としての魅力も増しています。

そんな「SHIP」が開設された背景や施設の概要、どのように利用されているかなどを、SHIPの管理責任者である、一般財団法人品川ビジネスクラブ 事務局次長の長江敏治さんに聞きました。

 

(プロフィール)

長江 敏治さん 一般財団法人品川ビジネスクラブ 事務局次長

 

人気のワケは、施設のきれいさや立地、公的機関ゆえの安心感

 

―品川産業支援交流施設「SHIP」の概要を教えてください。

 

長江

品川区は、かつての京浜工業地帯として大手企業から開発型中小企業、情報通信企業等の高度な集積があります。近年は五反田バレーを中心に、IT系ベンチャーが集まっています。それらが相互に連携し、特にものづくりに関して交流や情報交換のできる拠点、また、区民の地域活動を推進する拠点として2015年6月、大崎に開設されました。再開発されたビルの3階に約440㎡のイベントホール「大崎ブライトコアホール」と、4階にオープンラウンジ、多目的ルーム、貸し会議室4室、貸しオフィス16室、そして工房を備えています。

オープンラウンジは月額会員制のコワーキングスペースで、Wi-fiを完備し、個別テーブル席や商談スペース、カフェコーナーなど、目的に応じてお使いいただけます。年末年始以外はほぼ無休で、平日8時から22時まで、土日祝日も9時から18時までオープンしており、スタッフも常駐して安定的なサービスをいつでも提供しています。

1人用のブース席

壁に向かって集中できる、カウンター席

 

―コワーキングスペースの利用者には、どのような特徴がありますか。

長江

法人、個人ともにいくつか会員種別がありますが、同時利用人数が2~3人の法人会員は約60社、個人会員は約100人となっています。コロナ禍の影響でリモートワークが増えたせいか、個人会員が問合せも含め、非常に増えています。会員登録時に書類審査や面談等は必要ですが、どの時間帯も利用可能な個人会員が月会費1万1000円とリーズナブルなので好評なのでしょう。ビル内に飲食店やコンビニエンスストアもあり、ラウンジ内で飲食も可能です。利用者アンケートでは、公的機関であるという安心感や、施設のきれいさも人気の理由となっています。ちなみに、品川区民である必要はありません。

飲食ができるカフェコーナー。電子レンジや100円・150円で購入できる菓子のサービスも

コピー機やちょっとした文房具も用意されている

 

 

ベンチャー、スタートアップの交流や情報共有の拠点として

 

―法人会員は、どのような企業が多いのでしょうか。

長江

情報通信系やコンサルティング会社、イベント会社などが多く、社員数4~5人程度のベンチャー、スタートアップというイメージでしょうか。ここの住所で登記もでき、契約によってメールBOXも利用できます。メールBOXはもともと96個設置していましたが、好評のため追加して、現在は120個としています。また、メールBOXは個人でも契約形態により利用可能です。

こうした小さな企業や個人事業主にとっては、商談スペースや会議室があって顧客とのミーティングができるのがよいのでしょう。また、オープンラウンジ内の小分けにしたブースは、館内のシステムで予約もできます。このように個人情報を守りやすい環境があります。

ここで登記すると必要になる、メールBOXは当初96個設置されたが、好評のため、別途24個を追加

ちょっとした荷物を保管できるロッカーも完備

商談にも適している、4人掛けのブース席

ブース席予約パネルで、空き状況を見て自分で予約を入れられる

 

―貸しオフィスがあるのも、ベンチャーやスタートアップには利用しやすそうです。

長江

そうですね。全16室ありますが、年間稼働率も93.2%(2019年度実績)と好評です。また、こちらのオフィスや、品川区の他の創業支援施設入居者は、SHIPのオープンラウンジも利用可能です。そうした入居者の交流会をクリスマスパーティーなど、年2回開催もしており、互いの経験の共有やネットワーキングに役立ててもらっています。そのほか、SHIP会員同士の交流・情報交換のために毎月SHIPカフェ会という勉強会も開催。参加者を十数人に限って、ゲストの話を聞いたりワークショップを行ったりと、実践的な場として好評です。SHIPはこのような、品川区で創業・起業された方のハブであり、協業や連携をサポートしています。

またSHIPとして、中小企業診断士の資格を持つインキュベーションマネージャーが随時、事業計画作成や融資等の相談に対応しており、対面でもWebでも可能。イベントとして、金融機関や士業の方々を講師に迎えた相談会や交流会なども随時開催しています。

貸しオフィススペースは、カードキーによる認証が必要で、セキュリティは万全

この日、相談ブースにいたインキュベーションマネージャーは濱谷 芳樹さん。大手素材メーカーにて、材料開発、商品企画、外注生産管理、海外拡販、新事業開拓、経営企画など多様な業務経験があり、プロジェクトにおける社外とのコラボレーションを得意とする。

 

「ものづくり、3DのことならSHIP」として、全国に発信を

 

―コワーキングスペースに、工房が併設されているのは、珍しいですね。

長江

工房は、ものづくりの品川区として設置した施設であり、SHIPの大きな特徴となっています。そうしたことからSHIP開設時より、各種3Dプリンターとレーザーカッター、電子顕微鏡などを備えてきましたが、2020年4月に機器をリニューアルして、さらに試作・製造支援体制を強化。昨年より3Dの専門家を専任スタッフとして迎えたため、工房として、より積極的に活動を行っています。

その一つが、全国から受け付ける「SHIP STUDIOオンライン相談」。3Dプリンターで何ができるのかといった基礎知識から、機器の購入相談、また、実際の生産ラインの改善アイデアまで、幅広く相談が寄せられています。実際、3D技術の進化は目覚しく、海外では歯の矯正器具や自動車部品のスプリングなどの金属加工品も作られているのだとか。試作品だけでなく、安定的に一定数を製造でき、デザインの変更も容易など、使い方を知れば、うまくビジネスに活用いただけるでしょう。こうした相談を全国から受けることで、「ものづくり、3DのことならSHIPに聞こう」という認知につなげ、品川区内の企業にも注目をいただきたいと考えています。

3Dレーザースキャナーや3Dソフト、データ編集ソフトを一新。より精度の高い試作品が作れるように

 

―先ほども工房に、SHIP利用者の方が相談に見えていました。

長江

そうですね。工房の技術スタッフが3D技術にまつわるセミナーをSHIPで開催もしているため、皆さんにも活用のイメージが付けやすくなっているのではないでしょうか。オフィス入居企業とのやり取りも活発で、ある会社では、展示会に出品するサンプルを3Dプリンターで製造することでコストダウンさせたなど、具体的な取引事例が出てきています。

SHIP工房常駐の技術スタッフ、Primal Design.Labo合同会社 CTOの芦田和哉さん。「まずは何でも聞いてみてください」と頼もしい

 

 

利用者のニーズを考えたスタッフ対応で、創業やビジネスを黒子として支援

 

―コワーキングスペースとして、単に快適な場を提供するだけではなく、会員同士の交流もSHIPでは目指されているのですね。

長江

会員の方それぞれにニーズはあると思いますので、臨機応変にではありますが、スタッフ間でも研修会を行って、利用者目線に立ったサービス提供のあり方を常に考えるようにしています。その中で、個別の方のニーズに合わせて声をかけさせていただいたり、会話も楽しむようにしています。そうしたことがイベント企画の参考にもなるでしょう。利用者とのコミュニケーションを、SHIPの財産として、また皆さんに還元していければと思います。

―3階にある「大崎ブライトコアホール」はどのように使われていますか?

長江

シアター形式なら460席とれる広さがあり、専有のホワイエもありますので、株主総会やセミナー・講演会、レセプションなどに活用いただいています。企業の研修会なども多いですね。コロナ禍以前は年間稼働率が91.9%(2019年度実績)でした。現在は、オンライン対応なども含め、新たな使い方を提案していきたいと考えています。これまでも、「SHINAGAWAイノベーションフォーラム2020 in 五反田バレー」や「五反田バレーアクセラレーションプログラムKick-Offイベント」などを大崎ブライトコアホールで開催していますが、このホールを使った、SHIPや品川区の創業支援施設利用者の交流を生む仕掛けも、さらに考えていきたいですね。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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