五反田バレーアクセラレーションプログラム
受講生インタビュー

2024.3.6

【五反田バレーアクセラレーションプログラム アルムナイ特集】 異国での医療不安を解消する日本人専門医によるオンライン診療・医療相談サービスを提供する株式会社Medifellow 取締役 池田さんにプログラムでの成果や今後の展望について聞いてみた。

2019年に創業し、33科、500人以上の日本人専門医によるオンライン診療・医療相談サービスで、世界中にいる日本人に正しい医療を届けている株式会社Medifellow(メディフェロー)。その事業の概要と、2021年に参加した「五反田バレーアクセラレーションプログラム」での成果、今後の展望について、取締役COOの池田宇大さんに聞きました。

(Medifellowの軌跡)
2019年1月 会社設立
2021年9月~2022年3月 五反田バレーアクセラレーションプログラム2期
2023年3月 第三者割当増資による資金調達

(プロフィール)
池田 宇大さん 株式会社Medifellow 取締役 COO 薬学士
岐阜薬科大学薬学部卒業。病院の経営コンサルティングを経験。大学病院や自治体病院、公的病院の経営改善に通算30病院程度従事。実績病院が総務省の経営改善事例集掲載。県庁職員向け講師や他研修会講師多数。その後HR業界で採用支援コンサルティングを経験。クロスボーダーの転職・就職支援に従事。

 

33診療科・500人以上の専門医による「オンライン総合病院」

 

―まず、御社の事業について教えてください。

池田 宇大

「世界中どこにいても大丈夫。」をモットーに、海外にいる日本人向けのオンライン診療・医療相談サービスを提供しています。当社の強みは、そのサービスを独自のITツールやアプリで提供する点ではなく、33の全診療科・500人以上の専門医のネットワークで対応に当たるサービス品質にあります。それをオンライン上の総合病院のように、専門医が事業全体を運営・品質管理を行っているのが特徴です。

―2021年度の「五反田バレーアクセラレーションプログラム」に採択されましたが、どのような目的で応募されたのですか?

池田 宇大

2019年1月に創業して、まだ間もなく、会社の認知度を上げたいと思っていたときに、運営会社であるDMM.comからプログラムを紹介されたのです。このような自治体や企業が主催するアクセラレーションプログラムは初めてでしたが、五反田バレーのスタートアップには知り合いもいて親近感があったので、応募を決めました。
また、医師の体制はできていたものの、ビジネスについては模索しており、何かしら事業化へのヒントが得られればと期待しました。

研修で資金調達に興味を持ち、勉強するきっかけに

 

―プログラムに参加して、気づきはありましたか?

 

池田 宇大

全6回の研修の中で、資金調達をテーマにした回がありました。それまで資金調達はあまり知識がなかったのですが、その研修で興味を持ち、勉強するきっかけになりましたね。
また、DMM.comのWebマーケティング専門家を紹介してもらい、Webマーケティング戦略についてメンタリングを受けました。当社の事業をふまえて、どういうメディアが成果が出やすいか、どのくらいのコンバージョンが見込めるものかなどを教えてもらい、参考になりました。
ピッチについても、私はコンサル出身なのでプレゼンテーションの経験はありましたが、8年ぶりくらいだったので、改めてタメになったと思います。このプログラムでは最初のKick-Offと最終のDemoDayでVCや金融機関、事業会社の方たちの前でピッチを行えたので、貴重な機会でした。実際、毎回の研修でも受講者同士で話したりする中で、当社の事業を知らない人に分かりやすく説明する難しさを知りました。何が分かりにくいのか、どうすれば伝わるのかなど、学べましたね。

―パートナー企業・団体の特典では何が役立ちましたか?

池田 宇大

当時はオフィスがなかったので、大崎にあるSHIP(品川区産業支援交流施設)のオープンラウンジが無料で利用できたのが良かったです。当社の代表と私の居住地の中間が大崎辺りだったので、ディスカッションなどに使いました。また、プログラム期間中に、公的な機関への入札案件があり、その膨大な提出書類の印刷や整理作業を行うのにも使わせてもらいました。

―2期は19社のスタートアップが参加しましたが、他の受講者との交流はいかがでしたか?

池田 宇大

創業期のほぼ同じフェーズにある仲間ができたのは非常に良かったです。1人でやっていては入ってこないような生の情報みたいなものが得られますね。自分の経験をシェアしたり、逆にシェアしてもらったりすることで、その後の活動を効率化できると思います。たとえば、資金調達での体験を共有してもらったり、組織運営の悩みや対処法についても、よく話し合っていました。
今も数名とは連絡を取り合っています。ニジュウニの安川さん、ONZOの知場さんと近況報告など、やり取りをしていますね。

駐在員から旅行者向けへと顧客対象を広げ、他社との連携を強化

 

―プログラムに参加した後、事業化に進展はありましたか?

 

 

池田 宇大

そうですね。もともとは日本人の中でも、駐在員と同伴家族を顧客として想定していました。その後、海外旅行者や出張者、短期滞在者向けも対象に入れるようになり、2023年3月には大手旅行代理店のHISから出資を受け、社内の各部署と連携して、旅行者向けのサービスを本格的に展開させています。
また、プログラムのDemoDayの頃、公的機関の大規模事業を受託し、新型コロナウイルス感染拡大で生活に支障が出ている在留邦人向けに、期間限定で日本語のオンライン医療相談・精神カウンセリングを提供しました。
そのほか、複数の外資系保険会社の保険加入者向けに、日本人専門医が対応する日本人向けのサービスの提供も始めています。また、福利厚生サービスのベネフィット・ワン社と業務提携し、もともと会員向けにオンライン医療相談を行っていましたが、さらに、健診後の要治療者に対する受診勧奨サービスの提供も始めています。

―最後に、起業を考えている人へアドバイスをお願いします。

池田 宇大

営業でも資金調達の活動でも、数を重ねることで内容が磨かれます。ですから、断られても負けずに、やり切ってほしいですね。その際は、ただ数を重ねるではなく、常に問題意識を持ってやることが大事です。言われたや課題に感じたことを修正し、会話のし方や資料の内容など、どうすべきかと意識して、PDCAを回していくと良いでしょう。
これは、アクセラレーションプログラムへの参加姿勢にも言えることです。私自身、五反田バレーアクセラレーションプログラムのときには、あまり具体的に目標を考えずに参加してしまいましたが、どういうアクションにつなげるのかといった目標を具体的にもって参加すると、その分明確に成長につながると思います。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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