【イベントレポート】(五反田バレーアクセラレーションプログラム) 品川区でスケールしたセーフィー株式会社 佐渡島代表、株式会社ZEALS 清水代表が登壇!リアルな起業ストーリーとスケールの裏にあった苦労話、成功のポイントを伝授
開催日
2022年02月17日
会場
TUNNEL TOKYO(トンネル東京)オープンラウンジ
参加費
無料
詳細
品川区が、創業支援の一環で「五反田バレー」の認知度アップや地域活力の向上、区内産業全体の活性化を図るべく行っている「五反田バレーアクセラレーションプログラム」。2022年3月までの約6ヵ月間にわたり実施中のプログラムから、2月17日に開催された「先輩スタートアップとの交流会」の様子を紹介します。
セーフィーの佐渡島社長、ZEALSの清水社長が語った、ピボットや資金調達の裏側
会場となったのは、本アクセラレーションプログラムの連携パートナーである、TUNNEL TOKYO(トンネル東京)のオープンラウンジ。高さ3mの大型LEDビジョンが印象的な近未来的空間です。先輩起業家として登壇したのは、国内のクラウドモニタリング・録画サービスでシェアNo.1を誇るセーフィー株式会社 代表取締役社長CEOの佐渡島隆平さんと、チャットコマースから接客DXへと新しい顧客体験を創出させている株式会社ZEALS 代表取締役の清水正大さんのお二人。それぞれが1時間ずつ、事業の紹介、スケールとその困難の克服プロセス、資金調達や仲間集めなどについて、たっぷりと語ってくれました。
まず、2014年10月設立のセーフィーは、今でこそ課金カメラ台数14万台(21年12月末)となり、佐渡島社長もForbes Japan「日本の起業家ランキング2021」の1位に選ばれるなど、五反田バレーのスタートアップのなかでもとりわけ注目されています。それでも創業して、防犯用に住宅向けクラウドカメラをリリースした当初は不具合との格闘の日々。当時放映された『LEADERS リーダーズ』というトヨタ創業期をモデルにしたドラマを仲間内でみて、励ましあっていたそうです。
そのうちにカスタマーサポートを通じて新たなニーズに気づき、建設現場などの監視や遠隔での業務推進、さらに店舗向けの来店トラフィック分野に用途が広がります。その過程でも、顧客やパートナー、競合も味方につける「三方よしのエコシステム」や「オセロの四隅を押さえる流通戦略」など、スケールするための同社なりの工夫がありました。大手企業とのオープンイノベーションにおいても、各社から出向者を迎え入れ、同じ目線で取り組むことで上手く行っているそう。そして資金調達するより、その分営業に注力したほうがよいとの考えで、2021年の東証マザーズ上場までVCには頼らなかったという、独自の資金戦略も語られました。
一方、「OMOTENASHI REVOLUTION WITH CHATBOT」というビジョンを掲げるZEALSは、2016年に現在の基幹事業であるチャットコマースサービスをリリースするまでの様子を紹介。
創業当初は、アプリやWebの受託開発でつないだものの、毎月キャッシュアウトの危機にさらされていたが、ロボット開発を通してコミュニケーションの可能性に気づき、会話エンジンの開発にいち早く着手。同時期に、FacebookやLINEなどの主要メッセージングアプリでチャットボットプラットフォームのAPIオープン化が行われていき、追い風に。そうしてFBM対応のチャットボットサービスを世界最速でローンチしてからは、大型の資金調達を実現させ、2018年にはForbsの「アジアを代表する30歳未満の30人」に清水社長が選出。
こうして勢いに乗りテレビCMまで打ちましたが、やがてコロナ禍による社会変化で、再び危機に見舞われます。
ですが、対面接客ができない業界の方々の苦悩を目にし、ツールではなくプロセスを再発明する発想で「接客DX」というサービスを打ち出し、チャットボットと有人チャット、ビデオ接客を組み合わせます。これが、従来オフライン接客を行ってきた旅行や小売、通信、保険、自動車、不動産などの業界に、新たな顧客体験をもたらしました。また、同時期に世界で個人情報保護観点から、Cookieによる情報取得規制の流れが進んだことで、Webマーケティング手法の見直しが必要となったことも、接客DXを後押ししました。その結果、ユニークユーザー数は新規・累計共に右肩上がりとなっています。
また、同社ではプロダクト開発に欠かせないエンジニがの外国籍比率が8割を占めており、その秘訣について参加者からの質問もありました。
参加者からは、「セーフィー佐渡島さんは大企業との取り組み方、ZEALS清水さんは組織の作り方、そしてそのパッション、とても参考になり、本当に大きな刺激をいただいた。」、「失敗事例、大変現実的な生々しい話が聞けて、参考になった。グローバルで人材獲得を行なっている点も聞けてよかった。」、「今回も生々しい起業の話が聞けてとても参考になった。聞きたい事は全部聞けたため大満足。」など有意義な時間を過ごせた様子が伝わってきました。
最後に、お二人より品川イズムの読者にメッセージをいただきました。
セーフィー 佐渡島社長「Web3.0といわれ、複数サービス間を連携して付加価値をつけていくことが非常に簡単にできるようになっています。アイデアややってみたいことを表現し、それをビジネスにしやすくなっていると思います。品川、五反田バレーで多様なスタートアップが集まっているなかで、新しいサービスやアイデアを皆でブラッシュアップし、一緒にがんばっていきましょう」
ZEALS清水社長「起業において大切なのは、近道を探すのではなく、回り道をすること。周りが思う正解でなく、自分が納得できる正解を見つけることが大事です。事業をやっていくと、壁は現れるものなので、ぶち当たる度にそれを思い出してほしいですね。また、仲間や協力者に対しても、その1人1人の思いが報われるよう、死に物狂いでがんばる責任が、巻き込む側にはあります。リーダーとして思いを強く持ち、突き進んでください」
執筆者
取材ライター
久保田 かおる
インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。