起業初期に差をつける知識を伝授!(五反田バレーアクセラレーションプログラム)

イベントレポート 2022.12.1

起業初期に差をつける知識を伝授!(五反田バレーアクセラレーションプログラム)

開催日

2022年09月29日

会場

品川産業振興支援施設SHIP

参加費

詳細

品川区が、スタートアップの集積地としての「五反田バレー」の認知度アップや地域活力の向上、区内産業全体の活性化を図るべく実施している「五反田バレーアクセラレーションプログラム」。今年度は株式会社ゼロワンブースター(以下、01Booster)のプロデュースにより2023年3月までの約6ヵ月間、実施中のプログラムから、今回は、2022年9月29日に開催された「研修① スタートアップを立ち上げて世界を変えていこう」の様子を紹介します。

グループメンタリングや参加者同士の議論タイムで、ネットワーク作り

今回の会場は、アクセラレーションプログラムの連携パートナーの1つであるセガサミーホールディングス株式会社が大崎で運営する、オープンイノベーション施設「TUNNEL TOKYO」。アクセラレーションプログラム参加者には、このコワーキングスペースのフリーデスク1ヵ月無償提供が特典として付与されているため、研修時間の一部を利用して施設見学も行われました。

「TUNNEL TOKYO」施設見学会

「TUNNEL TOKYO」を初めて訪れる参加者も多く魅力的な施設に感心していました

プログラムは、グループメンタリング・講演・交流会の3部構成。4人ずつグループに分かれてのメンタリングでは「#ハッシュタグづくり」がテーマで、グループごとに1人7分で起業のきっかけや事業内容、本プログラムへの応募理由、ゴールのイメージ等を発表しあい、互いの理解を深めます。最後に各グループの代表者がグループ各人の紹介を全体に向けて行いました。前回KickOffのピッチスタイルの発表とは異なる雰囲気で、各人がパーソナルな思い入れも含めて熱く語り、質問も飛び交って、市場の可能性で盛り上がるなどしていました。
本プログラムではこのように研修ごとに、受講者同士で課題の共有・フィードバックを行うグループメンタリングを実施していきます。毎回グループ分けを変えて行い、互いの理解を縦横に深め、有機的な起業家コミュニティの醸成を目指します。

グループメンタリングを通して受講生同士の相互理解が図れました

休憩後に、01Booster代表取締役の合田ジョージ氏が登壇。合田氏自身が、大手メーカーとベンチャー企業での勤務を経て01Boosterを起業しており、「日本を事業創造できる国にして、世界を変える」をミッションとして起業家支援に邁進されています。熱量の高い、自ずと巻き込まれるようなトークスタイルが人気ですが、この講演もアクティブに、シード期の起業家にとって大事なトピックが次々に語られていきました。たとえば・・・

株式会社ゼロワンブースター合田代表の登壇

●日本では起業がしにくいイメージがあるが、かつては6割が家族経営を含めて事業者の時代があり、製造業などで会社組織に入って働くのが効率がよいとなって会社員が増えた。その弊害として、個人においてビジネスマインドが失われてしまった。つまり、個人の能力開発にはスタートアップは最高の環境であると思う。

●社内起業のポイントとして、やりたいことが会社の方向性と合致しており、伸びる市場で、会社のリソースを活用できればよいだろう。しかし大手企業として、新規事業は社内で創るよりも外部からM&Aして速やかに拡大するケースも多く、自分がやりたいことを追求するならば社内起業お勧めしないケースもある。

●思考タイプには、起業家的な思考であるグロースマインドセット型とフィックスマインドセット型がある。前者は、能力は変えられるものであり、チャレンジや努力、失敗からも学べると思う。後者は、能力は運命で決まっており、失敗を避け、他責だと思う傾向が強い。自分がどちらかを考えよう。ただ、思考は変えていけるので、フィックスマインド型だと思ったらグロースマインド型を意識していけばよい。

●なぜ起業家同士、仲良くするべきか。自立というと人に頼らないイメージだが、起業するなら、どれだけ頼れる人が多いか、助けを得られるかが大事。スタートアップでは、技術を商業化して初めて事業になる。技術者と商業化する人は別な場合が多く、チームを創る方が良い。

●スタートアップの失敗は、市場=ニーズをうまく当てられなかったことに起因する。アントレプレナーの語源は仲介人。自分は技術者をやるのか、仲介人をやるのかを考えよう。マクドナルドの創業者レイ・クロックは仕組みを全米に広げたが、技術的発明はマクドナルド兄弟で別の人、まさに仲介人。起業ではニーズがある場所を探すのが重要で、ビジネスチャンスは自分と異なるグループとの交流から生まれる。交流が少ないとイノベーションは起こしずらい。

●市場調査は英語で検索するとよい。たとえばIoT×market×trendで画像検索をやると、多様なスライドが出てくる。業界×startup×landscapeで、自分のアイデアに類似するものがないかチェックするのも手。Investmentで検索すると、その業界への投資の状況が分かる。

●投資先市場の世界のトレンドは、多肢に渡り、例えば、食糧危機を受けて農業、水産業。エネルギーやIT、ヘルスケアも引き続き注目。日本では行政系がスタートアップに仕事を出しはじめていることもあり、今以上の起業チャンスは、私たちの人生ではもう二度と来ない。スタートアップをやるならベストタイミング。

●日本は決して起業しにくくはない。ただ、ビジネスプランが社会性重視になりすぎるので注意。社会性であるロマンとお金を儲けるソロバンのバランスを取ることが大事。

●米国のリアリティショー「Undercover Billionaire」が参考になる。億万長者が身分を隠し、元手100ドルで90日以内に100万ドルのビジネス価値創出を目指すもので、事業を立ち上げるエッセンスが詰っていてお勧め。

合田代表の熱いメッセージに多くの受講生はモチベーションが上がりました

このように、起業準備からシード、グロースに向けて役立つトピックが次々に紹介されました。講演自体は1時間半ですが、合間に隣の参加者と随時2~3分ディスカッションを行ってもらうスタイルで進められます。これは起業家同士「仲良くなること」が今後活動していくうえで宝になるという考えによるもの。実際にディスカッションをはさむことで能動的に考え、相手の考えに対しても意見を伝えようとする様子が見受けられました。

受講生から質問を受ける合田代表

プログラムの最後には交流会として、受講者だけでなく、ファシリテーターとして入っていた品川区職員や01Boosterのスタッフも交えて、さまざまな意見交換や情報共有が行われました。合田氏に自身の事業について相談を持ちかける受講者もいて、積極的かつ和気藹々とした場となりました。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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