『五反田バレー×ベンチャーmeetup』freee株式会社 佐々木社長とSafie株式会社 佐渡島社長にここでしか聞けないベンチャー企業のあれこれ。おもいきってぶつけてみました!

イベントレポート 2022.12.16

『五反田バレー×ベンチャーmeetup』freee株式会社 佐々木社長とSafie株式会社 佐渡島社長にここでしか聞けないベンチャー企業のあれこれ。おもいきってぶつけてみました!

開催日

2022年07月30日

会場

オンライン

参加費

詳細

品川区、株式会社マイナビ、一般社団法人五反田バレーが連携して、ベンチャーの社長に直接、ベンチャーの存在意義や起業したきっかけを聞いてしまおうという1dayオンラインイベント「五反田バレー×ベンチャーmeetup」を令和4年7月30日に開催しました。

そのオープニングを飾った、freee佐々木社長とSafie佐渡島社長およびモデレーターのマイナビ編集部 星山様によるパネルディスカッションの模様をレポートします。

五反田バレーを代表する2人の社長が、ベンチャーの存在意義など、持論を展開

「五反田バレー×ベンチャーmeetup」は基本的には新卒向けに、ベンチャー企業を就職の選択肢として考えるためのイベントでしたが、起業したりベンチャーをグロースさせたい人にも役立つ内容が盛りだくさんでしたので、下記のポイントに絞ってfreee株式会社 佐々木社長とSafie株式会社 佐渡島社長それぞれのご回答を紹介します。

●学生時代に今のキャリアをどこまでイメージしていたか
●自分で会社を設立(起業)した背景、経緯
●創業時に目指した姿と現在地
●大手企業とは異なるベンチャーの良さ
●ベンチャーで活躍できる人の共通項

freee株式会社とSafie株式会社はいずれも、一般社団法人五反田バレーの理事企業の一翼を担い、五反田を代表するITベンチャーの筆頭格です。SHINAGAWA ISMでも以前、freee株式会社佐々木社長とSafie株式会社 佐渡島社長それぞれに創業ストーリーや今後の事業展望を伺っています。

 

 

 

freee株式会社 代表取締役CEO 佐々木 大輔さん
2012年7月に自宅の居間で会社を設立し、翌年、クラウド会計ソフトfreeeをリリース。その後も資金調達を着々と重ね、今では統合型経営プラットフォームを開発・提供。2019年12月には東証マザーズ上場を果たし、「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げています。
https://shinagawa-ism.com/interview/interview-1373/

 

 

 

セーフィー株式会社 代表取締役社長 佐渡島 隆平さん
2014年創業から約6年で出荷カメラ台数10万台を突破させ、国内のクラウド録画サービスでシェアNo.1を達成。高画質で安価、誰でも簡単に使えるサービスは、小売・外食・不動産・建設・各種自治体など、幅広い業界に支持を得ており、用途を防犯・監視から人手不足対策・マーケティング活用・業務効率化推進などへと広げています。
https://shinagawa-ism.com/interview/interview-758/

学生時代に、今のキャリアをどこまでイメージしていましたか?

freee株式会社 佐々木社長:私自身は大学時代にベンチャーのインターンを経て、博報堂に入社しています。当時ベンチャーでインターンをするような人は起業意欲が強いものでしたが、私はそこまで考えていませんでした。
起業に向けて心が動いたのは、後にGoogleに勤めて5年目くらいに、オランダ人の上司から夏休みを1ヵ月取れといわれ、オーストラリアでゴルフをやってみたのですが、2週間もすると飽きてしまう。
それどころか、いま自分が世の中の役に全く立っていないとジリジリしてしまって、世の中を前進させることをやりたいと強く思ったのが、起業への芽生えです。

Safie株式会社 佐渡島社長:小さい頃から実家で商売をされている人が周りに多かったので、自分で事業を興すのは自然なことだったんです。それで中学時代から株取引を始めていて、電力株などを安定した投資先と考えていました。ですが、阪神・淡路大震災で電柱が倒れたのを見て、自分で面白いと思えることをやっていかねばと思うようになりました。その後、大学ではiモードで休講情報やノートの貸し借りなどの学生向けコミュニケーションツールを作り、ユーザーも集まってビジネスの面白さを実感しますが、起業は考えず、ソニーグループに入社します。そこでエンターテインメントや金融など、多様な領域の人たちとビジネスを作っていきました。

―自分で会社を設立、起業した経緯を教えてください。

freee株式会社 佐々木社長:Googleでは中小企業向けに広告ビジネスを担当していました。世の中にインターネットが広がって変化をもたらしていましたが、中小企業の現場では相変わらずファックスでやり取りをしています。私は実家が美容院ですが、そういうところにもインターネットの恩恵をもたらしたい。そこで目をつけたのが「会計」です。会計担当者が終日エクセルに手入力しているような現状を変えられれば、日本の法人の多くを占める中小企業で、テクノロジーによる変革がリアルになると思ったのです。

Safie株式会社 佐渡島社長:当時、ソニー木原研究所からスピンアウトしたグループ会社にいて、IPOを目指してはいたものの、顔の画像認識技術の事業化に苦心していました。優秀なエンジニアがいてもサービスが作れないというジレンマです。そんなとき、自宅を新築していて、防犯カメラをアクションカメラ化できたら面白いと気づきました。それで社内で進めようとしたところ、社内プロセスに時間がかかり、他社との連携も思うようにできません。スピード感もって立ち上げるために、会社とも相談して起業することにしました。

―創業時に、会社としてどうありたいと思い、それは今、どのように根付いていますか?

freee株式会社 佐々木社長:高度成長期に身についてしまった日本人の驕りみたいなものを、取り除かねばと思いました。当時、企業研修でビジネスモデルを学ぶと、70~80年代の日本の成功体験というのは既に取り込まれ、世界はその先に行っていましたが、日本の大企業では相変わらず、その延長線上にいるだけでした。そうじゃなく、独自のものと新たに積み上げていくものの両方が大事なのです。Freeeでは、その歩みを止めないためにも、ユーザーにとって本質的な価値があることをしようと、「マジ価値を届けきる集団」を標榜しています。

Safie株式会社 佐渡島社長:創業した2014年は、ソニーの業績悪化を引き金に平均株価他バブル崩壊後最安値を記録した「ソニーショック」から10年以上、業績不振が続いていました。社内でイノベーションを起こせなくなっていて、iPhoneも作れなかったわけです。ですから、自分たちの会社は、チャレンジしたいと思ったときに、時代によりアジェンダや課題感が変わっても、また新しい人が生まれ続けるような場にしたいと思いました。それでSafieではカルチャーに1つに「異才一体」を掲げ、あらゆる才能の人が一体となって時代を作っていこうとしています。

―大手に勝る、ベンチャーで働く魅力とは何でしょうか?

freee株式会社 佐々木社長:ベンチャーだと、打席に立てる感覚がありますね。私自身、インターンから大企業に就職したときに、高速道路から一般道に下りたみたいに、急に周りがゆっくり感じられたんです。求められるスピード感が段違いで、ベンチャーでは常に求められるので、それに伴って自身もみるみる成長できるわけです。
また、日本企業型のリスク回避カルチャーはイノベーションを阻害するもの。そうじゃなく、建設的に新しい事に取り組める環境に身を置けば、5年後10年後の自分に大きな差があると思います。ノーコードでソフトウェアを作れる時代も近いですが、そうした環境変化のなかで自分をアップデートできることが重要ですよね。

Safie株式会社 佐渡島社長:やはり、スピード感ですね。世の中に新しい価値を、スピーディに打ち出していけます。アメリカや中国ではすでにベンチャーが社会に変化をもたらしているわけで、日本でも早晩そうなるでしょう。インターネットがこれだけ広がっている社会では、大手もベンチャーも情報の非対称性はもはやないので、やりたいことをスピード感持って実現できるベンチャーのほうが魅力あるといえます。また、大手企業に属しているとその看板で仕事をしているところがありますが、ベンチャーなら、より自分の力で勝負する実感が持てるでしょう。

―ベンチャーで活躍できる人の特徴、共通項を教えてください。

freee株式会社 佐々木社長:freeeは「ムーブメント型組織」なので、社会を変えるムーブメントに参加している意識が大事です。だからといって、必ずしもリーダータイプが求められるわけではありません。コミュニケーションが上手くて人がついてくるとか、口下手でも文章がうまくストーリーを伝えられるとか、ファクトを見つけて皆に提示できるとか、自分が得意な領域で構いません。手段はいくらでもあるでしょう。

Safie株式会社 佐渡島社長:「変化が好き」「アンラーニングできる」「誠実さ」「チームでやる」「共感できる」という5つだと思います。1つの成功の裏には、9つもの失敗があるもので、ベンチャーの日常は失敗の連続ですから、それを笑い飛ばせるくらい前向きに取り組めるとよいでしょう。また、お客様に聞いたことや現場のあり様からどんどん学んでいかねばなりません。そして目の前のレンガを積む行為を、単純作業ととらえるのではなく、サグラダファミリアを築く一端を担っていると考えられること。そういう人が活躍できているように思います。

このように、起業を考えている人、グロースを目指したい人にも参考になる話がたくさん伺えました。最後は、聴講者へのメッセージで締めくくられました。

freee株式会社 佐々木社長:日本にこれまでなかったような職種がベンチャー内でどんどんできており、人材輩出の場としてもベンチャーはパワーを持っています。人生は長く、さらにいまは、自分らしく生きられる時代なので、ぜひ働き方としてベンチャーや起業も選択肢に入れてほしいですね。

Safie株式会社 佐渡島社:Safieは創業10周年になりますが、さらにアップデートし続け、グローバルでも成功するべく、本気で取り組んでいるところす。「時代を変えられる」のがベンチャーの価値ですので、そういう思いでぜひベンチャーや起業に挑戦してもらいたいです。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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