【イベントレポート】プログラムの現受講者とOB/OG、パートナー企業が互いにピッチ&交流「五反田バレーアクセラレーションプログラム2024 五反田バレー交流会」

イベントレポート 2025.2.19

【イベントレポート】プログラムの現受講者とOB/OG、パートナー企業が互いにピッチ&交流「五反田バレーアクセラレーションプログラム2024 五反田バレー交流会」

開催日

2024年11月29日

会場

品川産業交流施設SHIP  多目的ホール

参加費

詳細

品川区が実施している、スタートアップの事業成長支援プログラム「五反田バレーアクセラレーションプログラム」の第5期は、2024年9月から2025年3月まで開催。そのなかで自由参加のサイドイベントとして、現在の受講者とOB/OG受講者、本プログラムのパートナー企業・団体との交流を図る「五反田バレー交流会」が企画されました。2024年11月29日に品川産業交流施設SHIPの多目的ホールで開催された、その様子を紹介します。
 

現在のプログラム受講者が事業プランを披露

2020年に始まった「五反田バレーアクセラレーションプログラム」では、4期で72社がプログラムを修了。計約32億円の資金調達につながり、東洋経済の「凄いベンチャー100」に選出されるスタートアップも輩出しています。現在進行中の第5期は19社が3月のDemoDayに向けて奮闘中。プログラムを通して19のパートナー企業・団体がさまざまな特典を提供し、スタートアップや起業家の事業成長を支援しています。

そこで今回はプログラム初のイベントとして、スタートアップ・エコシステムを盛り上げるべく「五反田バレー交流会」を企画。第5期の受講者から9社、過去の受講者から5社、パートナー企業・団体から10社の、40人ほどが集まりました。

最初に、一般社団法人五反田バレー代表理事の中村岳人氏から開会のあいさつで、「スタートアップにとって人とのつながりは大事。しかも、長い目で見れば将来ピボットや事業領域拡大もあり得るので、自分の今の事業領域によって関わる方を絞ってはもったいない。今日この場でも多くの方と話してもらい、今後の自分たちの資産になるようなつながりを増やしてほしい」という言葉がありました。

次いで、現在のプログラム受講者から4社が事業紹介のピッチを行いました。ピッチは3分間で、質疑応答も活発になされ、下記のような質問が飛んでいました。

・課金モデルやターゲット層はどのあたりを考えているのか。
・企業と具体的にどのようなつながりを求めているか。
・資金調達はいつ頃を考えているのか。
・競合との差別化はどのように考えているか。
・SaaSによる機能提供と包括的なサポートをどう両立させられるのか。
・B2Bモデルでのプレゼンだが、B2Cも可能性を感じるが検討しないのか。
・この手法の広範な普及と、特定ターゲット層へのこだわりでは、どちらが強いのか。

OB/OG受講者がプログラム後の事業進捗や活躍を報告

LOOVIC㈱
第2期(2021年9月~2022年3月)に採択。その後、西大井創業支援センターに会員登録し、支店として法人登記。毎月メンターとディスカッションを行っています。
事業は、移動音声×SNSプラットフォームとなります。みずからの存在を声だけバーチャルにし外出先で聴覚支援の形で付き添える技術により、個人向け〜事業向けまで幅広く、人の外出先での案内シーンすべてを無人化するスマホアプリのナビ&ガイドサービスを提供されいています。現在、動物園など6施設から実証実験を開始されています。2024年度は品川区のソフトウェア開発促進助成に採択されたほか、さまざまな企業、団体、自治体のプログラムにも採択されています。

エピストラ㈱
第3期(2022年9月~2023年3月)に採択。品川産業支援交流施設SHIPのオフィスに入居しています。
事業は、AIを活用したバイオ産業の活性化。2022年に理化学研究所と一緒に「再生医療用細胞製造プロトコルの自動最適化」のAI部分を開発し、Forbes JAPANに掲載もされています。現在は、コンサルティングとライセンス・プロダクトの2種類のビジネスで展開。前者のトラクションは、医薬品などの生産量・品質向上、コスト削減、期間短縮で約60件の実績があり、後者では2024年9月に島津製作所の出力分析にライセンスした製品をリリース。今後も光学機器メーカーなどと同様の計画が進行中です。

㈱ルースヒースガーデン
第1期(2020年9月~2021年3月)に採択。プログラムで、大人向けのスマート防犯アクセサリーの事業化を目指し、3Dプリンターを備える品川産業支援交流施設SHIPの工房で試作品を制作。こうしてブラッシュアップさせた事業は、2023年4月より別会社で推進中。夜道で不安なときなどに、握ると自分のスマホを着信音を鳴らせたり、ピンを引き抜くとLINEグループで家族や友人に助けを求められるなどの機能があります。現在は開発をほぼ終え、クラウドファンディングを予定。将来は、API連携でB2Bビジネスへの展開や、不安にまつわるビッグデータの展開も見据えています。

これらのピッチに対しても会場から質問が活発になされ、それぞれの事業に対する理解や共感が深められている様子でした。

パートナー企業から受講者への特典や期待を紹介

最後のパートでは、パートナー企業から3社が登壇し、プログラムの特典内容やスタートアップへ支援の取り組みについて発表されました。

・品川産業支援交流施設SHIP
受講者への特典:オープンラウンジ無料、テストマーケティング・実証実験支援など
SHIPの特徴は3つ。インキュベーションマネージャー(IM)による無料相談など、起業に関する相談窓口が充実していること。コワーキングスペースからオフィスまで、会社のステップアップに合わせて利用できること。交流会やセミナーを多数開催してネットワーキングに注力していることです。IMへの相談は品川区の助成金についてなど、気軽に聞けるのでぜひ活用してほしいとのことでした。

・株式会社みずほ銀行
受講者への特典:会員サービスM’s Salonの紹介、その他みずほフィナンシャルグループ各社の紹介
銀行、証券、信託、VC、調査など、グループ全体でスタートアップを支援。シードからアフターIPOまで一気通貫で対応しています。また、アクセラレーション会員サービスM’s Salonでは大企業との大規模商談会を年1回開催しており、有効商談率は58%とのこと。そのほか、Mizuho Innovation Awardを四半期ごとに開催して、優れた技術やアイデアを持つスタートアップを表彰もしています。

・SGホールディングス株式会社
受講者への特典:「HIKYAKU LABO」のオープンイノベーションプログラムの紹介と事前壁打ち、SGホールディングスグループ各社の紹介、配送・倉庫・物流コンサルティングなどのご提案
佐川急便を中核とするSGホールディングスグループでは、デリバリー・ロジスティクス・不動産・その他の4領域で事業を展開。「HIKYAKU LABO」としてオープンイノベーション活動に取り組み、年1回のオープンイノベーションプログラムのほか、随時スタートアップとグループ各社の協業を支援しています。物流以外の領域のスタートアップとも垣根なく話をしていきたいとのことでした。

これらのピッチにもそれぞれ質疑応答を行った後には、ピッチを行っていない企業や参加者も含め、全員で交流会がもたれました。一般社団法人五反田バレー代表理事の中村氏の乾杯の音頭に続き、それぞれに名刺交換やあいさつ、情報交換などで会場は盛り上がり、今後の協力や連携に向けてよいきっかけ作りの機会となった様子でした。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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