【イベントレポート】大手金融機関のスタートアップ支援を、自社の資金/協業ニーズに活かそう!「品川ソーシャルイノベーション アクセラレーター サイドイベント『起業家が知るべきPMFの極意』」

イベントレポート 2025.12.8

【イベントレポート】大手金融機関のスタートアップ支援を、自社の資金/協業ニーズに活かそう!「品川ソーシャルイノベーション アクセラレーター サイドイベント『起業家が知るべきPMFの極意』」

開催日

2025年10月10日

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参加費

詳細

「品川ソーシャルイノベーション アクセラレーター」では2026年3月までの約6ヵ月間で、起業に向けたマインドセットや広報戦略、資金調達のポイント、ピッチの添削講座、先輩起業家との交流会といった研修を行っています。さらに自由参加イベントとして、連続起業家の田所雅之氏による講演「起業家が知るべきPMFの極意」が企画されました。2025年10月10日に品川産業交流施設SHIPの多目的ホールにて開催された、その様子を紹介します。

●各社3分のピッチで、事業フェーズや融資/出資/協業ニーズをまずアピール

今回の講師、ユニコーンファーム代表取締役CEOの田所氏は、スタートアップ界隈のバイブル『起業の科学』の著者。日米で計5社を起業した経験を持ち、現在は株式会社ユニコーンファームの代表取締役CEOとしてスタートアップ経営の支援などを行っています。

今回は、事業成長や立ち上げを目指すうえで陥りがちな失敗を予防し、真のPMF(Product Market Fit)に必要な要素を、フレームワークを用いて講演いただきました。

まず提起されたのは、「自社のPMFをどう定義するか」。約2分間のワークで、各人の事業内容、自社の現時点でのPMF達成率、事業がどうなればPMFを達成したと見なすかを考え、Zoom上で共有、発表していきました。

そうして参加者が自社のPMFをどう考えているかを確認した上で、PMFの難しさが説明されます。大手企業で創出される新規事業においても単年黒字化に至る成功率は約25%であり、田所氏の実感値では、スタートアップにおいてはおそらく1%程度であろうとのこと。

また、PMFといっても、その程度には濃淡があるといいます。「欲しいと言った」から「頼まなくても宣伝してくれる」といった顧客の反応と、「友人」「顔見知り」「赤の他人」といった自身と顧客の関係をマトリクスにすると、「Weak PMF」や「Strong PMF」などに分類可能。知り合いの「使ってみるよ」との言葉は「Produt 忖度 Fit」に過ぎないことに注意。目指すべきは、赤の他人でも勝手に宣伝してくれる「Strong PMF」とのことでした。

その後は、PMFを成功させるための以下のようなポイントが、イメージしやすい例やフレームワークのフォーマットとともに紹介されました。

・顧客が諦めている不を発見する:表面的なニーズではなく、顧客が「仕方がない」と受け入れている潜在的な課題(不)を特定し、解決すること。

・全方位でなく激刺さりするセグメントを狙う(Product Segment Fit:アーリーアダプターなど、特定の顧客層に深く刺さる価値を提供し、最初に成功の土台を築くこと。

・少し先の未来を見立てる(Product Future Market Fit):現在の市場だけでなく、未来の市場の変化を見据えてプロダクトを進化させること。

・PMFの定量的な再現性×定性的な型化:PMFに至ったプロセスを数値で測定しつつ、成功パターン(型)として言語化・仕組み化することで、再現性を高めること。

・PMF後に勝ち続けるための仕組みづくり:PMFは終点ではなく、外部環境の変化や顧客の期待に応え続け、勝ち抜くための体制や仕組み(例:絶え間ない改善、新商品開発)を構築すること。

・バリュージャーニーで圧倒的価値を提案(Value Journey Market Fit):顧客がプロダクトを通じて得られる「価値の道のり(ジャーニー)」全体を設計し、競合を圧倒する体験と価値を提供すること。

途中には、PMFの再現性を考えるために、顧客エンゲージメント(PMFの達成度)を縦軸に、時間を横軸にとった「ユーザーエンゲージメントマップ」のフォーマットを紹介。実際にワークとして、自社のプロダクトや自身がハマっているものに関して書き込み、2人一組で互いの内容を確認する時間が設けられました。最後に、数人が画面共有しながらその場で発表し、田所氏がコメントして講義は終了となりました。

その後は交流会となり、参加者同士での情報交換が行われていたり、田所氏に名刺交換やアドバイスを求める様子なども見られました。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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