官民連携でスタートアップを支援するShinagawa Ecosystem Meetup #2。成長企業から経営の鍵を学び、VC・自治体とのつながりを育む
開催日
2025年11月04日
17:30~21:00(開場 17:00)
会場
品川区立五反田産業文化施設 CITY HALL & GALLERY GOTANDA
(東京都品川区西五反田8-4-13 五反田JPビルディング3F)
参加費
無料
詳細
2025年11月4日、東京・五反田の「CITY HALL & GALLERY GOTANDA」にて、「Shinagawa Ecosystem Meetup #2 -品川で始める、スタートアップの可能性-」が開催されました。好評を博した第一弾に続き、「五反田バレー*1」を中心にスタートアップ支援を推進する品川区が主催。前回を上回る100名超の参加者で会場は満席になりました。
「品川で始める、スタートアップの可能性」と題した今回は、エコシステムを構成するスタートアップ、自治体、そしてベンチャーキャピタル(VC)が再び集結。先輩起業家による「リアルな経営判断」の共有から、熱気あふれるピッチセッションまで、品川エコシステムの「今」と「未来」を感じさせるイベントとなりました。本レポートでは、その熱気に満ちた当日の模様をお届けします。
経営の「リアル」を共有。ビビッドガーデン 松浦氏が語る、困難の乗り越え方
イベントの冒頭では、オンライン直売所「食べチョク」を運営する一次産業スタートアップ・株式会社ビビッドガーデンの執行役員を務める松浦氏が登壇。本講演では、「スタートアップのリアル」というタイトルで、2016年の創業から、安定的に黒字成長を続けている現在までの経営判断を振り返りました。

これまでに幾度となく経営上の困難を乗り越えてきた松浦氏。特にシリーズA〜B*2にかけては、会社の将来に関わる大きな意思決定が多くあったといいます。
松浦氏は、「経営判断には明確な答えがあるわけではないと思います」と前置きしたうえで、新規事業へ踏み出したタイミングについて意思決定が遅れてしまったことや、テレビCMへの投資など、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)が完全に確認できない段階での大型投資判断など、経営上の難点を具体的に語りました。
そして、経営全体に関わる判断における意思決定の質を上げるためにも、社内でのディスカッションはもちろん、スタートアップ・エコシステムを活用しながら様々な意見を取り入れることが重要だと強調しました。
スタートアップが直面する課題の中には、すでに他の会社が解決策を見出したケースも多く、経営判断に苦戦するときこそ、内にこもらずに積極的に社外とディスカッションするようにしているそうです。
その姿勢は、25歳で同社の取締役になった頃に培われたものであり、「SNSを駆使してとにかく周囲の人に相談して課題を乗り越えてきた」と当時を振り返った松浦氏。誰かと会話することが課題解決の近道になるため、「私のところにも悩み事があればぜひ声をかけていただければと思います」と笑顔で締めくくりました。
【スタートアップピッチ】品川から羽ばたく、注目の4社が熱弁
続いて、品川区が実施しているアクセラレーションプログラムやインキュベーションなどに参画したスタートアップ4社がピッチ登壇しました。妊婦への健康管理サービスを提供する株式会社MamaWell、地域の中堅・中小企業へのデータ活用支援を行う株式会社Srush、子ども見守りサービスを開発する株式会社Child Security、AI最適化技術をライフサイエンス分野に応用するエピストラ株式会社が、それぞれの事業と今後の展望を力強くプレゼンテーションしました。
【株式会社MamaWell】(過年度品川区ウーマンズビジネスグランプリ グランプリ受賞)
妊娠期から育児期の女性を対象に、パーソナル助産師による伴走支援と、体調・行動データを活用した個別化サポートを組み合わせたハイブリッド型の健康管理サービスを提供。日常的に収集される健康データや相談履歴に基づき、合併症予防、就業継続支援、孤立感の軽減といった一次予防を実現し、妊娠期女性の社会参加の継続を実現する。2025年には品川区の「オンラインMy助産師」事業に採択され、妊娠~出産~産後まで妊婦やパートナーに切れ目ないサポートを提供している。
【株式会社Srush】(過年度五反田バレーアクセラレーションプログラム採択者)
「データを誰にとっても身近なものにする」を掲げ、Srush AIを軸に、ノーコードでデータを統合・可視化できる「データ統一クラウド」、データ活用を支援する「データ活用伴走サポート」、データを自在に操る人材を排出する「データ人材育成プログラム」の3つを展開。2025年4月には福岡に九州支社を開設し、地域の中堅・中小企業への支援を本格化。
【株式会社Child Security】(品川スタートアップ・エコシステム スタートアップ会員)
「世界で一番子どもたちが安心して暮らせる社会を実現する」をミッションとするスタートアップ。主に次の2つのサービスを展開。① Child Security GPS™:子どもが携帯しやすい薄型・軽量・シンプル設計の見守り端末。② Child Security Link™:QRコード+番号管理で個人情報を扱わず即時照合できる迷子防止リストバンド。

【エピストラ株式会社】(過年度五反田バレーアクセラレーションプログラム採択者)
ライフサイエンス分野に特化したAI最適化技術「Epistra Accelerate」を基盤に、細胞培養や培地組成の最適化を自動化し、品質向上・コスト削減・開発期間短縮を実現。製薬・CDMOなどで60件超の実績を有する。
本技術は島津製作所にライセンスされ「CellTune」として製品化されているほか、同社と連携して培地事業も展開する予定であり、抗体医薬やCGTなど幅広い領域での実装を加速している。
コメンテーターは、セガサミーホールディングス株式会社・TUNNEL TOKYO 清宮氏とCreww株式会社 ディレクター 伊地知氏。ピッチ終了後の質疑応答の時間では、コメンテーターのお二人から「類似サービスと比較してどんな強みがありますか?」などの鋭い質問や、事業の幅をより広げるような具体的なアドバイスが送られました。

【品川区内事業者ピッチ】エコシステムを支える、品川のキープレーヤーたち
イベント後半では区内事業者によるプレゼンがありました。品川のスタートアップエコシステムをVCとして、またインキュベーション施設として支える2社が登壇しました。
PARTNERS FUND株式会社の種市氏は、品川区を拠点にスタートアップ企業への投資を専門とするベンチャーキャピタリスト。同社は特にシード期のスタートアップに投資を行う独立系VCとして活動しています。チームは累計30年以上の投資実績を持つメンバーで構成され、メーカー、IT分野など多様なバックグラウンドを持つパートナーがそろいます。
種市氏は、「これからスタートアップを作る起業家の方々や協業先を探している方々とともにネットワークを作り上げていきたいと考えています」と呼びかけました。

春蒔プロジェクト株式会社の田中氏は、シェアードオフィス「co-lab」の運営やデザインディレクション、ブランディング事業などを手がけ、クリエイターの集合知によるコラボレーションを重視した新しい価値創造の場を提供しています。
特に「co-lab五反田」はIoT系やIT系のスタートアップ企業が多く在籍しているため、切磋琢磨できる場所になっているといいます。田中氏はこの場所で活気あるコミュニティが形成され、多様なコラボレーションを通してイノベーションが生まれる土壌ができていることを伝えました。

全てのセッションが終了すると、会場はそのまま参加者同士の交流の時間へ。 品川スタートアップ・エコシステムに所属しているスタートアップの方々などのプロダクト展示・体験ブースも設営され、あちこちで活発な名刺交換や事業相談の輪が広がります。登壇者と参加者、あるいは参加者同士が直接語り合い、新たなビジネスの種が次々と生まれていました。

第一弾からさらに熱量を増した「Shinagawa Ecosystem Meetup #2」。冒頭で松浦氏が語った「社外とのディスカッションの重要性」を、まさにこの場で体現するようなミートアップとなりました。スタートアップ、自治体、VC、支援者が集い、混ざり合うことで、品川のエコシステムは確実に厚みを増しています。
*1五反田バレー:情報通信業やスタートアップが集積する五反田エリアのこと。アメリカのシリコンバレーになぞらえている。
*2スタートアップ企業は、成長フェーズによってシード・アーリー・ミドル・レイター(上場直前期)とカテゴライズされ、資金調達の進捗によりシード・シリーズA・B・Cとラウンドを重ねる。

