『五反田バレーアクセラレーションプログラム2021』がいよいよ参加者を募集開始! プログラムをプロデュースするDMM.comにアピールポイントを聞いてみた
起業間もないIT事業者や起業準備中の事業者を集め、9月から翌年3月までの7ヵ月間にわたり開催される「五反田バレーアクセラレーションプログラム」。第1回となった2020年度には、高校生から60代のシニアまで幅広い21事業者が参加して、スタートアップのスケールに必要な知識・ノウハウを習得する研修や、個別メンタリングを実施。集大成となるDemo Dayでは、ベンチャーキャピタルや大手企業を前に1社5分の事業プレゼンテーションが行われました。
その第2回となる2021年度のプログラムは、ハードウェアスタートアップ支援を強みとコワーキングスペース「DMM.make AKIBA」を秋葉原で運営するDMM.comが企画・運営を担当します。企画に向けたビジョンや、プログラムに活かされる支援ノウハウなどについて、DMM.make AKIBA事業部 副事業部長の平林愛子さんと、コミュニティマネージャーの浅田七星さんに聞きました。
【五反田バレーアクセラレーションプログラム2021特設サイト】
https://gotandavalley-accele.com/
ものづくりの場所と機会を提供し、事業化を加速させる
―まず、DMM.make AKIBAについて教えてください。
平林
運営するDMM.comとDMM.comグループでは領域を問わず、未来を感じるビジネスにはひとまず投資し、なんでもやるカルチャーがあります。そのなかで、総合型ものづくりプラットフォームとして2014年に開設されたのが、DMM.make AKIBAです。JR秋葉原駅に近く、ビジネス拠点となるコワーキングスペースと、多様なプロトタイピングが可能なシェアファクトリーを備えているのが特徴ですね。
浅田
さらに、私のようなコミュニティマネージャーが常駐して、会員の大手・中小企業とスタートアップの交流やマッチングをサポートしています。もちろん、施設内に関する質問、相談も、ちょっとした立ち話レベルから、特許申請はいつ始めるべきかといった知財管理のアドバイスまで幅広く対応。パートナー企業にもご協力いただきながら、イノベーションや事業化を加速するお手伝いをしているんですね。
―実際のコラボレーション事例を教えてもらえますか?
平林
スマートシューズを開発・製作している「no new folk studio(ノーニューフォーク スタジオ)」というスタートアップは、当初はアプリで音や光の演出を操作できるエンタメ系のスマートシューズを作っていたのですが、今はシューズ内のセンサーで走り方のデータを取得してヘルスケアやスポーツに活かす製品を展開しています。現在展開している製品の開発にはコミュニティマネージャーの紹介や展示棚を介して、素材メーカーや半導体メーカーとの出会いが役立ったと伺っています。
また、後付できるAI運転アシスタントを開発している「Pyrenee(ピレニー)」も会員のスタートアップで、ここでのマッチングでシャープが量産支援に入っており、2022年中には製品を発売予定となっています。
スタートアップのニーズに基づくマッチング機能を強化
―今回、「五反田バレーアクセラレーションプログラム」の運営を担当されることになった経緯をお聞かせください。
平林
DMM.comの地方創生事業部では、当社の全てのサービスを用いて、地域ごとの課題に応じてソリューションを提供しています。その一貫で、地方創生事業部とDMM.make AKIBAで、品川区のスタートアップ支援に協力させていただくことになりました。
―品川区や五反田にはどのような印象をお持ちですか?
平林
会員のスタートアップからは、品川区は起業やスタートアップに対する助成金が充実していると聞いています。秋葉原も品川、五反田も「ものづくり」が共通するキーワードになる土地柄ですので、「五反田バレーアクセラレーションプログラム」でも当社のサポート経験や実績を活かして、ハードウェアやIoTの事業化ノウハウなどを盛り込んだプログラムにできればと考えています。
―6月から翌年3月まで、7ヵ月にわたるプログラムですが、どのような企画を考えられていますか?
浅田
DMM.make AKIBAで普段からコミュニティマネージャーが行っているような、ニーズのヒアリングとマッチングのサービスを、プログラム参加のスタートアップにもしっかりと提供していく予定です。量産に向けたパートナー企業探しであったり、知財や人事のプロにつなげることも積極的に行っていきたいですね。
たとえば量産支援については、当社でも設立から3年くらいは試行錯誤がありました。スタートアップと大企業との間で、予算感に開きがありすぎたり、そもそも言っていることの接続点がうまく見られないため、計画にまで落とし込めないんですね。そんなときにシャープが量産支援をプログラム化されていて、自社製品の仕様書に当てはめられるレベルまで一緒に整理してもらえるので、グッと現実的になりました。
平林
当社内の新規事業創出を担当する部署と、今プログラムの内容を詰めているところです。また、当社のコーポレートベンチャーキャピタルによる資金調達セミナーなども予定しています。そのほか、DMM.com自体のITスタートアップとのネットワークを活かして、ITスタートアップの経営者が自らの経験を元に採用広報を語るなど、起業家にとって貴重かつ実際的な示唆が得られるような内容を意識して、プログラムを検討中です。DMM.make AKIBAでは起業初期のスタートアップを支援する独自のプログラムを運営しているので、その知見も活かせると思っています。
―今回のプログラムには、どんな起業家の方に参加してもらいたいですか?
浅田
このプログラムの良いところは、多様な講師やメンターと密接に関わる機会ができる点にあるのだと思います。ご自分のアイデアを発信して、一緒に何かやりたいとか、いろいろな人と関わって広げていきたいといった思いを持っている方に、応募いただけるとよいですね。
平林
厳しいようですが、アイデアの事業化、ビジネス化へのプロセスになりますので、次々と課題が出てくることになるでしょう。そこで諦めずに、やり切ろうという意欲ある方に、ぜひ挑戦いただきたいです。もちろん、私たちのノウハウや経験をふまえて、しっかりとバックアップし、支援させてもらいますので、ご安心ください。
また、新規事業をコラボして進める際には、打ち合わせを何度も重ねるものですが、そうやって「一緒に何かやりましょう!」といっていても、打ち合わせだけで結局形にならなかったというケースは少なくないのが現実です。そうならないよう、これまで見てきた起業家で良かったなと思うのは、ズバッと発言して時間を無駄にせず、決裁者と早く会える術を知っているような方ですね。今回のアクセラレーションプログラムに、パートナー企業も参画いただいており、新規事業やCVCのキーパーソンの方もいらっしゃるので、是非ご参加いただいた方には実現に向けて前のめりに進んでいっていただきたいです。
―最後に、この記事をご覧の起業家または起業を検討されている方にメッセージをお願いします。
浅田
皆さんの状況はそれぞれで、達成したいゴールも一人ひとりで異なることでしょう。そのゴールをいかに達成してもらうか、サポートとして最適なことを密度高く行わせていただきます。
平林
期間中のモチベーションを維持するためにも、参加者同士の交流を、良い意味でライバル視できるような出会いにしてもらいたいですね。今回、行政のスタートアップ支援をお手伝いさせていただくことで、品川区のものづくりや日本のスタートアップの発展に貢献したいと考えています。皆さんのビジネスのスピード感を上げていけるようなプログラムにしますので、ぜひご応募ください。
―ありがとうございました。
執筆者
取材ライター
久保田 かおる
インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。