五反田バレーアクセラレーションプログラム
受講生インタビュー

2024.8.5

【五反田バレーアクセラレーションプログラム アルムナイ特集】 ブロックチェーンで職務経歴の改ざんを防ぎ、就活資料の信頼度UP&人事の工数削減に寄与する株式会社contronym藤田代表にプログラムでの成果や今後の展望について聞いてみた。

2022年2月に創業し、ピボットを経て現在は、ブロックチェーンで職務経歴書の改ざんを防ぐ人材マッチングプラットフォーム「METAWORKS」を提供している株式会社contronym(コントロニム)。その事業の概要と、2022年に参加した「五反田バレーアクセラレーションプログラム」での成果、その後のピボットや今後の展望について、代表取締役の藤田隆太さんに聞きました。

(contronymの軌跡)
2022年2月 会社設立
2022年8月 Web3人材マッチングサービス 提供開始
2022年9月~2023年3月 五反田バレーアクセラレーションプログラム3期 参加
2023年1月 品川イノベーションフォーラム 登壇
2023年10月 サービスリニューアル

 

(プロフィール)
藤田隆太さん 株式会社contronym 代表取締役

大学卒業後、ソフトバンク株式会社にてマーケティングコミュニケーション業務に従事。Android端末の広告戦略の企画立案を担当。2022年2月に株式会社contronymを創業。

 

英語圏では常識のリファレンスチェックを効率化&信頼度向上を実現

 

―まず、contronymの事業について教えてください。

藤田 隆太

ブロックチェーン技術を用いて、就職活動における職務経歴書の改ざんを防ぐ人材マッチングプラットフォーム「METAWORKS」を開発・提供しています。採用企業側と求職者側の情報を元に、マッチング履歴やA社に近いB社がどういう人材を採用しがちかなどをAIに覚えさせ、候補者のなかからA社にマッチする人材を、アルゴリズムでリコメンドします。
特徴は、ブロックチェーン上で職務経歴や学歴などの個人情報を、複数名に第三者証明してもらうことで改ざんを防ぎ、信頼性が担保されること。これにより、採用チームが従来リファレンスチェックにかけていたコストや時間を大きく短縮できます。

―採用企業・求職者のユーザーの属性を教えてください。

藤田 隆太

いま取引先企業は50社強。9割近くが海外の法人で、インドやアメリカのテック系企業が多いです。
求職者の登録はいま約1万5000人ですが、月1000~2000人ペースで増えています。インド、アメリカやベトナム、シンガポールからが多く、日本は徐々に増えて10%強になってきました。基本的に英語圏を対象にしたビジネスで、サービスもプロモーションもすべて英語で行っています。

―職歴の改ざんというのは採用企業の課題として、どのくらい大きいものですか?

藤田 隆太

改ざん経験のある求職者が45%といわれています。ひどいケースでは、在籍したことのない会社にいたことになっていたことも。また、10名のマネジメント経験しかないのに、30名と書いてしまうなど、内容を盛るのはよくあるようです。実際、面接などで採用企業側が不審に思って気づかれるケースが多く、本来は書類でスクリーニングできたはずなのに、以降の採用活動が無駄になってしまいます。
そのため、海外では提出書類に対するリファレンスチェック(第三者承認)が浸透しており、現職/前職の上司や同僚に人事から30分~1時間の電話インタビューを行ったりしています。それが当社サービスであれば、最初に登録した内容から書き換えられなくなっているので、効率化できます。


 

他のアクセラプログラムにはないような「競合優位性」の濃密な研修

 
―2022年の「五反田バレーアクセラレーションプログラム」に応募された理由を教えてください。

藤田 隆太

その年の2月に、前職で同僚のエンジニアとマーケターの自分で共同創業していて、知人の経営者から、アクセラレーションプログラムだと事業のグロースのさせ方や顧客の獲得法、知財や資金調達の知識など、創業期に必要なことを一通り学べて効率的だと聞いたのがきっかけです。それでプログラムをいろいろ調べていて、五反田バレーのプログラムの研修内容が求めるものとマッチしていたので応募しました。

―実際に研修内容で役立ったことはありましたか?

藤田 隆太

知財については、参加前はあまり考えていなかったのですが、その重要性に気づけました。
最も役立ったのは、池森さんの競合優位性の回(研修② ITスタートアップが考えるべき正しい競合優位性について)です。その後、別のアクセラレーションプログラムにもいくつか参加しましたが、ピンポイントで競合優位性をあそこまで詳しく扱う講義はありませんでした。
その研修で、正しい競合優位性のポイントの1つとして解説された「ネットワーク効果」は重要だと思い、今もプロダクトを作るときにはサービス設計のときからネットワーク効果を意識して作っています。後からマーケティングでどうにかするのではなく、最初からバイラル的に広まっていくような仕組みにしておくといったことですね。

―そのほか、役立ったことがあれば教えてください。

藤田 隆太

受講者の個別ニーズに応じて専門分野のメンターによるメンタリングを随時受けられるのですが、私はこれも池森さんに何度かお願いしました。池森さん自身が起業やバイアウトを複数経験され、スタートアップ支援を行われている方なので頼もしかったです。メンタリングでは競合優位性のほか、事業全体のGTM(Go TO Market)プランについて相談に乗ってもらいました。
プログラムの特典では、それまでも使っていたAWSのクレジットと、PR TIMESが無償で利用できたのが良かったです。実際、プレスリリースを見て人材採用ニーズのある企業からの問合せがあったり、検索すると大体1ページ目に記事が上がってくるので、商談の席で「事前に見た」とよく言われます。

―藤田さんはプログラム期間中に「SHINAGAWAイノベーションフォーラム2023」に登壇もされましたね。

藤田 隆太

Web3/メタバースがテーマだったので、プログラム経由で声をかけていただき、スタートアップ企業の取り組み事例紹介をさせてもらいました。製品体験会でデモも行えたので、来場者経由で商談につながったりもして、これも有難かったです。


 

プログラムで接点のあったVCとはコンタクトを継続。そろそろ資金調達を検討

 
―「五反田バレーアクセラレーションプログラム」に参加された後にピボットをされたそうですが、詳細を教えてください。

藤田 隆太

実は「METAWORKS」はメタバース・NFT特化型のクラウドソーシングプラットフォームとしてスタートしましたが、Web3人材の母数が思ったよりも少なく、特に日本ではあまり登録者数が伸びませんでした。そもそも当社のコアミッションは、人材のミスマッチをなくすこと。当初Web3領域で人材のミスマッチが多いと見て特化していましたが、ピボットして職種を問わずに間口を広げ、リファレンスチェックにフォーカスすることにしました。
また、それまでは日本語でプロダクトを創っていましたが、ピボットを機に、プロダクト改修は全て英語ベースとし、業務委託のエンジニアも日英言語で国籍を問わず、英語圏の発想で作りこんでいます。

―今後の展望はどのように考えていますか?

藤田 隆太

HRテックでも、このリファレンスチェックにフォーカスしたサービスはまだ少なく、ブルーオーシャンです。今のうちに市場を取っておこうと、売上を広告費に投入して登録者数の拡大を図ってきましたが、資金調達をそろそろ考えたいですね。バリュエーションを高めてから調達したかったので、アクセラレーションプログラムで接点のあったVCとはコンタクトを継続しています。
資金調達の目的は、サービスで大型のアップデートを考えているので、その開発と広告です。また現在、正社員は共同創業者のCTO1名のみで、業務委託が5名ほどですが、コアメンバーも拡充したいですね。

―スタートアップとして成長を目指す人へアドバイスをお願いします。

藤田 隆太

一般的に起業に当たっては、登録手続などを調べるくらいで、周辺知識などを学んだりする余裕はあまりないと思います。それをこうしたアクセラレーションプログラムなどを使って、体系的に学ぶのはお勧めです。さらに、知識をインプットするだけでなく、最後にDemoDayでピッチを行う形でアウトプットを行うのは良い経験になるでしょう。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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