五反田バレーアクセラレーションプログラム
受講生インタビュー

2024.11.1

【五反田バレーアクセラレーションプログラム アルムナイ特集】ログによるPC業務の見える化&業務改善で、中小企業の経営を支援するセブンセンスマーケティング株式会社代表にプログラムでの成果や今後の展望について聞いてみた。

企業の生産性向上やテレワークを導入していくなかでの業務の見える化を推進するSaaS「みえるクラウド ログ」を提供しているセブンセンスマーケティング株式会社。その事業の概要と、2023年に参加した「五反田バレーアクセラレーションプログラム」で役立ったこと、その後の事業展開について、代表取締役の宮田昌輝さんに聞きました。

(セブンセンスマーケティングの軌跡)
2020年3月 Web集客支援で創業
2021年11月 「みえるクラウド ログ」β版をリリース
2023年9月~2024年3月 五反田バレーアクセラレーションプログラム4期 参加
2024年5月 「みえるクラウド ログ」がMacβ版をリリース
2024年9月 「みえるクラウド ログ」累計導入社数が150社を超える

(プロフィール)
宮田昌輝さん セブンセンスマーケティング株式会社 代表取締役
筑波大学在学中に5人の仲間と学生向けの不動産ポータルサイト「つくいえ」を立ち上げる。その後、事業を売却、家計簿アプリを立ち上げる。一定のユーザーには利用されるものの拡大が思うように行かず、大手企業への転職、新たな起業を行うなどチャレンジを続ける。2020年には創業50年以上のセブンセンスグループとともに、セブンセンスマーケティング株式会社を設立。Webマーケティング事業などとともに「みえるクラウド ログ」サービスを立ち上げ、事業を推進中。

 

従業員のPCログで業務を見える化し、生産性向上や人員の最適配置を実現

 

―まず、セブンセンスマーケティングの事業について教えてください。

宮田 昌輝

PCログを活用したSaaS「みえるクラウド ログ」を提供しています。従業員がパソコンを使った履歴(ログ)から作業内容や所要時間を分析し、業務を完全自動で見える化するもので、コロナ禍でテレワークの普及が進んだときに引き合いが増えました。業務の開始時間・終了時間が分かるので勤務実態も見える化でき、隠れ残業や深夜残業などの予防にもつながります。
もともとはマーケティングコンサル事業でWeb集客支援を行っていましたが、2021年3月頃より「みえるクラウド ログ」の開発を始めて、その年の11月にβ版をリリースしました。まずは形にするレベルだったので、当初はバグの改修も行いながらユーザーの声を聞いてブラッシュアップさせ、現在に至ります。

―導入社数やその特徴を教えてください。

宮田 昌輝

現在(2024年9月時点)は累計150社以上に導入いただいており、9割が中小企業で、そのほか上場企業などに使われています。また、税理士法改正により、税理士・会計事務所がテレワークを行う際には税理業務の記録が必要となっていますが、「みえるクラウド ログ」はその要件にも合致していて、多く導入されています。
また、当社でもただ製品を提供するだけでなく、どう使っていただくか、生産性向上や人事戦略にどう活かしていただくか、コンサルティングにも力を入れています。事例が溜まるにつれ、能力の高いエース社員は、会社の次の柱を創るようなノンコア業務に専念できるように業務の振り分けや配分を考えるとよいなど、知見も蓄積しています。

顧客へのアプローチを改善し、プログラム期間中にユーザー社数が倍増

 

―創業されたのは2020年3月とのことですが、2023年の「五反田バレーアクセラレーションプログラム」に応募された理由を教えてください。

宮田 昌輝

その頃は「みえるクラウド ログ」が約60社ほどに導入いただけてはいたのですが、このペースではスタートアップ的な急成長は望めないという不安があり、何かサービス自体や事業の考え方に足りていない部分があるように思いました。そこでリリースからだいぶ経ってはいましたが、初心に返るつもりで応募を決めました。
また、当社はVCとのつきあいがなく、先輩経営者にアドバイスを求めるようなこともあまりありませんでした。同じ時間を使うならそうしたインプットよりも営業を優先してきたのですが、考えを改めて、このプログラムをインプットの機会にしたいと思いました。

実際にプログラムに参加して、どのようなことが得られましたか?

宮田 昌輝

一番は「研修⑥ 先輩スタートアップとの交流会」で聞くことのできた、PRONI(プロニ)の栗山社長の体験談です。創業からの10年を振り返られ、当初こだわっていた自己資本経営からエクイティでの資金調達に踏み切る決断をした経緯が参考になりました。外部資本に移行していくときの心の動きがリアルに聞け、当社と比べての事業成長のスピード感に圧倒されたりもして、経営者としてものすごく鼓舞されたんです。

当日は講演後の交流会で直接話ができ、さらに私は後日にも時間をとって、資本政策などについて学ばせてもらいました。今後もロールモデルとして相談させていただきたいと思っています。

―そのほか、役立ったことがあれば教えてください。

宮田 昌輝

受講者仲間にも、創業したてからバイアウトの経験者まで、さまざまなフェーズの起業家がいて、刺激になりました。私自身、実は大学時代に友人と起業してCOOを務めた経験があり、当時はスタートアップの世界のど真ん中にいる心持だったんです。それが最近では少し落ち着いていて、スタートアップというよりスモールビジネスのような感覚になっていたと気づかされました。チャレンジ精神が蘇りましたね。

また、当社と同じように中小企業のHR領域で提案する事業をやられている受講者とは、顧客を紹介しあったり一緒に提案したりと連携していて、今もやり取りが続いています。それ以外の受講者とも関係は良好で、こういうことならあの人、という関係性になっています。

―プログラムの特典や支援策で役立ったものはありましたか?

宮田 昌輝

特典で有難かったのは、AWSのクレジット(1万ドル分)とPR TIMESのプレスリリース配信サービスの無償提供(最大6ヶ月間、毎月1件まで)です。いずれも、特典がなかったとしても契約はしていたであろうもので、その費用を展示会参加など、他に充てることができました。

また、SHIP(品川産業支援交流施設)にはトライアルで「みえるクラウド ログ」を導入いただきましたし、セガサミーなどのパートナー企業にも製品をプレゼンさせてもらったことで、行政や大企業にとっての提供価値を肌感覚で感じることができました。それをふまえて、まずは中小企業から導入を進めていき、次のステップとして行政や大企業を考えていこうという事業戦略がイメージできたのもプログラムに参加した成果です。


 

プログラム参加で、多様なフェーズの起業家とネットワーキング

 

―セブンセンスマーケティングの事業について、今後の展望を教えてください。

宮田 昌輝

コロナ禍で一気にテレワークが広がりましたが、近年では少しずつオフィス回帰もされています。それでも、テレワークのさまざまなメリットは明らかで、当社のユーザー事例では、子育てや介護などで就業が難しい方々に、「みえるクラウド ログ」があったことでテレワークで働くことができたと感謝いただくケースが出ています。こうした支援を通じて、ライフイベントなどで働く意欲をそがれる人をなくす。さらに、がんばっている人が社内で正当に評価されるといった世界にしていきたいと思います。

―宮田さん自身、大学時代から起業を経験されてきて感じる、起業するうえで大事だと思うことを教えてください。

宮田 昌輝

大学時代にまず考えたのは、スマホのホーム画面に日本製のアプリがないのはおかしいと思い、日本発で日常的に多くのユーザーに使われるサービスを作ることでした。それで家計簿アプリを作ったのです。当時のツイッターのような存在を目指して熱く取り組みましたが、市場規模がそこまでではありませんでしたね。ただ、そのときに4000人の在宅ワーカーをマネジメントした経験があり、テレワークの課題が分かっていたのが「みえるクラウド ログ」のアイデアにつながりました。また、それ以外の起業もしたのですが、willとcanのミスマッチがあり、うまくいきませんでした。その点、今の事業は自分がやりたいことと世の中のニーズがマッチしています。そんな風に、失敗経験をふまえていつも次を考えていますね。

―最後に、スタートアップとして成長を目指す人へアドバイスをお願いします。

宮田 昌輝

「五反田バレーアクセラレーションプログラム」は自分にとってたいへん面白い経験でした。さまざまなテーマの、さまざまなフェーズの起業家が集まりますので、どんな方にも参考や刺激になるなど、必ず役立つようなプログラムになっていると思います。こうしたものへの参加を、新たな一歩を踏み出すきっかけやステップにしてみてください。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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