五反田バレーアクセラレーションプログラム
受講生インタビュー

2024.12.23

【五反田バレーアクセラレーションプログラム アルムナイ特集】孤食を減らし団欒を増やす「shokujii」を開発運営する、ニジュウニ株式会社代表にプログラムでの成果や今後の展望について聞いてみた。

「孤食を減らし、団欒を増やす」をミッションとして、日時・場所・お店を決めるだけで飲食を伴うイベントを簡単に開催できるWebサービス「shokujii(ショクジー)」を展開しているニジュウニ株式会社。その事業の概要と、2021年に参加した「五反田バレーアクセラレーションプログラム」で役立ったこと、その後の事業展開について、代表取締役CEOの安川尚宏さんに聞きました。

(ニジュウニの軌跡)
2019年2月 ニジュウニ株式会社を創業
2021年1月 グループ注文特化型フードデリバリー「ぼくデリ」をリリース
2021年9月~2022年3月 五反田バレーアクセラレーションプログラム第2期 参加
2023年11月 五反田バレーアクセラレーションプログラムOB×受講者交流会 参加
2024年2月 食事でつながる「shokujii」をリリース

(プロフィール)
安川尚宏さん ニジュウニ株式会社 代表取締役CEO
福岡県出身。慶應義塾大学理工学部応用化学卒。2010年、株式会社ダーツライブ(セガサミーグループ)にプランナーとして入社。2014年、ハードウェアスタートアップ Gatebox株式会社(旧社名:ウィンクル)取締役就任。光でつながるアプセサリー『AYATORI』の企画・開発・製造・販売。2015年、バーチャルホームロボット『Gatebox』のプランナーとしてソフトウェアおよびハードウェアの企画開発をディレクション。2019年2月、ニジュウニ株式会社を創業。代表取締役就任。

 

食をコンテンツにして、コミュニティの輪を広げる

 

―まず、ニジュウニの事業について教えてください。

安川 尚宏

フードオーダーシステムとイベント集客ツールを組み合わせた「shokujii」というWebサービスを展開しています。参加者は食べたいメニューを選んで事前決済するだけでそのイベントに参加できます。主催者は出欠管理・飲食手配・支払いの3点を一括管理できるため、食事会の幹事業務がぐっと楽になります。食を通じた出会いやコミュニケーションの場を創出することのできるサービスです。

―イベントはどのようなものが多いのですか。

安川 尚宏

元々は、コワーキングスペースにおける会員さん同士が交流するランチ会が多かったのですが、現在はビジネス系のイベントも増えています。主催者側のメリットとしては、通常は特定のテーマのセミナーやピッチイベントなど、企画・コンテンツを作りこむ必要がありますが、「shokujii」であればランチ交流会など、食事をコンテンツにすることでイベントが成立させることができます。参加者側もネットワーキング目的であれば、食事を兼ねて人と知り合えるわけで、タイパやコスパ観点からもメリットがあります。一般的なビジネス系イベントではまず1~2時間スピーカーからの話を聞く時間がありますが、手元で自分の作業をしたりして、時間を持て余しやすいのではないでしょうか。それがなく、最初からフラットに全員が主役で参加できますし、ランチ会なら1時間くらいなので気軽に参加しやすいといえます。

―マネタイズはどのようにしていますか。

安川 尚宏

お店から売上に応じた注文手数料をいただいております。さらに法人向けで、人材採用や営業活動、福利厚生といった用途に月額課金で提供する機能の開発を進めています。ただ「孤食を減らし、団欒を増やす」をミッションにサービス運営しているので、ToB領域に広げていくだけでなく、あらゆる団欒に活用いただけるようにToCにも広がっていくサービスを目指したいと考えています。

孤独になりがちな創業期に、フラットに話せる仲間ができる

 

―創業されたのは2019年2月とのことですが、2021年の「五反田バレーアクセラレーションプログラム」に応募された理由を教えてください。

安川 尚宏

実は当時は、グループ注文でデリバリー手数料が無料となる、ぼくらのフードデリバリー「ぼくデリ」というサービスを展開していました。LINEグループで友人や同僚などとまとめてフードデリバリーを注文するものです。コロナ禍で飲食店の経営が苦しくなったのを見て、何か支援できないかと始めたものでした。身近なところでは好評だったのですが、LINEグループを使うという閉じた仕組みでなかなか認知が広がらず、ビジネスとしてスケールが難しいと感じるようになっていました。

そこで、コワーキングスペースなどへの導入を進めようとしていたタイミングで「五反田バレーアクセラレーションプログラム」のことを知り、品川区の商店街や地域住民向け、地元企業向けなどで何か貢献できないかと参加を決めました。

―実際にプログラムに参加して、どのようなことが得られましたか?

安川 尚宏

起業家仲間が何人もできたのは大きかったですね。「ぼくデリ」が導入できそうな施設を紹介してもらうなど、商機拡大につながった面もありましたし、フェーズの近い方もいて参考になりました。やはり起業すると孤独だし、分からないことだらけなので、フラットに話せる相手がいると心強いものです。互いに壁打ちし合って、相手の事業について可能性を一緒に探ったり、意見を言い合ったりしました。

1回どこかのイベントで会っただけではこうした関係までは築けませんが、このプログラムのように半年間、毎月顔を合わせていたからこそできたのだと思います。

―研修で印象的なものや、プログラムの特典で役立ったものはありましたか?

安川 尚宏

大企業などと協業を推進した経験のある方を講師に迎えた「研修⑤ 事業会社との協業を活かす方法」が、生々しい話を聞けて印象に残っています。

特典では、品川産業支援交流施設SHIPのオープンラウンジや、セガサミーホールディングス株式会社のTUNNEL TOKYOなどのコワーキングスペースが使えたのが便利で良かったです。特にセガサミーは、新卒でグループ会社に入社していたので久しぶりに昔の上司に会えたりもしました。

―安川さんは、2023年11月の「OB×受講者交流会」にもOBとして参加されましたが、いかがでしたか?

安川 尚宏

他のOBも受講者も、さまざまなフェーズの起業家がいて刺激になりました。ちょうど「shokujii」を開発中だったので、自分の事業のことを知ってもらう機会としても貴重でしたね。少人数だったのもあって意見が活発に交わされたりもして、開発中だったサービスについても感触が得られました。

―最後に、スタートアップとして成長を目指す人へアドバイスをお願いします。

安川 尚宏

1人で起業すると当初は孤独で、話相手もいなかったりしがちです。事業の行く末も不安だし、資金についてもいつまでもつか不安。そうして心が折れると、できていたこともできなくなったりするものです。そんなときでも、雑談でよいのでフラットに話せる相手がいると力が湧いてきます。「shokujii」のようなサービスも、仲間づくりの助けになるかもしれません。また、アクセラレーションプログラムなどを活用して、行動量を増やし、話せる人を積極的に見つけに行き、互いにフィードバックし合いながら前に進んでいけるとよいと思います。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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