【イベントレポート】品川区が東京都の名物ピッチイベントを共催し、試験導入を支援「第10回TIB PITCH【試験導入コース】」

イベントレポート 2025.5.20

【イベントレポート】品川区が東京都の名物ピッチイベントを共催し、試験導入を支援「第10回TIB PITCH【試験導入コース】」

開催日

2025年02月21日

会場

Tokyo Innovation Base(TIB)

参加費

詳細

2025年2月21日、品川区では、東京都が取り組むTokyo Innovation Base(TIB)の「第10回TIB PITCH 」第2部の試験導入コースとして、品川区スタートアップ・エコシステムと東京都の連携イベントを開催しました。地域の社会課題解決に資するイノベーションの創出とスタートアップの成長・参画促進を目指して特別に企画され、合計6社が自社サービスの紹介と品川区での共創の方向性についてピッチを行った、その様子をレポートします。

品川区スタートアップ・エコシステムがTIBとの連携イベントを開催

TIBでは、TIBにてスタートアップのサービスを積極的に活用したり、展示の機会を提供する取り組みとして、月1回、「TIB PITCH」を開催しています。第10回となる今回は通常のTIB PITCHに加え、第2部として品川区スタートアップ・エコシステムとの連携イベント「試験導入コース」が実施されました。TIB PITCHをこのように自治体と連携して行うのは、今回が初めてのことです。

ピッチに先立って、まず東京都が取り組む自治体連携について、東京都 スタートアップ・国際金融都市戦略室 イノベーション推進部スタートアップ戦略推進担当の直井課長より説明がありました。
TIBはスタートアップ支援のプラットフォームとして、都内のエコシステムをつなぐ役割を担っています。さらに全国各地の自治体主催イベントも開催し、地元スタートアップにTIBでピッチをしてもらったり、行政がその地域の課題についてリバースピッチを行って都内スタートアップに力を借りるような取り組みも実施。また、東京都では年1回、アジア最大級のスタートアップカンファレンス「SusHi Tech Tokyo(スシテック東京)」を開催していますが、そこでもオールジャパンのエリアを設置していて、自治体のエコシステムが多数集まるとのことでした。

次に、品川区のスタートアップ・エコシステムの概要が、品川区栗原創業・スタートアップ支援担当課長より説明されました。

品川区では2024年にスタートアップ・エコシステムの構築を始め、すでに大手・中小・スタートアップなど140社以上が登録。今年度のエコシステムの取り組みは3つあり、まずネットワーキングとしてプレイベントキックオフイベントなどを実施して、多様なプレイヤーとの交流やエコシステム構築の機運醸成を図ったこと。2点目に、「ものづくり」「商業・サービス」の領域でオープンイノベーションマッチングを2回実施し、現在18件の商談が継続中であること。3点目に、スタートアップ・エコシステム推進拠点都市との連携を図り、福岡市や仙台市とはイベントを行うなどして、品川区から地方進出しやすい環境整備に努めていること。今回の東京都とのイベントでも連携を深め、より良いスタートアップ支援につなげていきたい、といったことが発信されました。

優勝者には、品川区の地域特性に合わせた行政・企業のマッチングをフォローアップ

次いで、6社によるピッチが行われました。それぞれピッチが4分で、審査員による質疑応答が2分です。
まず、品川区にあるスタートアップが3社。

●株式会社Work with Joy
※五反田バレーアクセラレーションプログラム2023 第4期採択企業
飲みニケーションをDX化!メンバーの本音を取得し、リーダーを支援するツール「joby(ジョビー)」を提供


●株式会社きづなろ
※五反田バレーアクセラレーションプログラム2023 第4期採択企業
非接触モーションキャプチャーのセンサーを用いて、住まいが住人を健康診断するヘルスケアエコシステム「ぴんぴんセンサー」を提供


●MUSVI株式会社
※品川産業支援交流施設SHIP 入居企業
距離を超えてリアルに人と“会う”ことができる遠隔コミュニケーションツール、テレプレゼンスシステム「窓」を提供

そして、TIB会員の3社の順です。

●LocationMind株式会社
任意の施設をクリックするだけで人流データを参照することができる、出店先の立地戦略を策定するための人流分析ツールを提供

●株式会社Portalgraph
スクリーンにVR空間を投影する、視界を塞がない新感覚のVRプロジェクター技術「Portalgraph」を提供

●株式会社Circloop
洗浄・配送・回収をフルサービスで行う、使い捨てと変わらない体験が心地よい環境貢献につながるリユーザブルカップシェアリングサービス「Circloop」を提供

審査員を務めたのは、東京都 直井課長と品川区 栗原課長のほか、VCのセールスフォースベンチャーズ、ANOBAKA、そしてXR技術のスタートアップであるSTYLYで活躍する方々です。

今回、品川区発・東京都発それぞれの優勝者には、「TIBでの試験導入機会の提供およびそのフィードバック」と「品川区の地域特性に合わせた行政・企業のマッチングフォローアップ」がプライズとして与えられるとあって、熱いピッチが繰り広げられました。試験導入を想定し、質疑応答でもビジネスモデルや活用イメージについて深堀りするような質問が多くなされていました。


そうして審査の結果、MUSVI株式会社と株式会社Circloopが採択されました。講評では、この2社について評価された点が以下のように伝えられました。
・MUSVI株式会社の「窓」は日本のさまざまなところにニーズがあり、TIBや品川区で実証を行うのに相性が良さそうに思えた。点在するコミュニティースペースのそれぞれにあれば、相互に知り合い、刺激し合えるし、定例会議などもしやすそう。また、海外とつながるにも、従来のオンライン会議ツールを超えたリアルなコミュニケーションが「窓」なら可能だろう。
・株式会社Circloopは、企業や施設でのコーヒー提供においてサステナブルだし、ブランディングにつながるのも高評価だった。ヨーロッパをはじめ、海外ではそうした仕組みが進んでいるので、日本でも取り組みたい。従業員など利用者側にも取り組みが目に見えて分かる。区民に対してもイベントなどで活用されると、環境問題の気づきにつながると思う。
また、そのほかのスタートアップについても、ピッチ内容への共感が伝えられたり、質疑応答で指摘した点もぜひ考えてみてといった、発展につながる話がされていました。

その後は会場でネットワーキングの時間が持たれ、登壇者や審査員、観覧者らが名刺交換や意見交換など、積極的に交流を深める様子が見られました。

執筆者

取材ライター

久保田 かおる

インタビューはリラックスムードで楽しく。原稿では、難しいことも分かりやすく伝えるのがモットーです。

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