【イベントレポート】地域課題の解決に向け、6期目となるプログラムをリニューアル「品川 ソーシャルイノベーションアクセラレーター 2025 Kick-Offイベント」
開催日
2025年09月05日
会場
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参加費
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詳細
品川区では、2020年度より「五反田バレーアクセラレーションプログラム」を開始し、スタートアップや起業家の事業成長を支援してきました。そして2025年度からは、さらなるスタートアップの成長および地域産業の活性化を図るため、このプログラムを刷新し、「品川 ソーシャルイノベーションアクセラレーター」として展開していきます。今回は、2025年9月5日に開催された、本プログラムのKick-Offイベントの様子を紹介します。
採択された20の多様な起業家たちが、パートナー企業の前でピッチを披露
「五反田バレーアクセラレーションプログラム」では、これまでの5期で計96社が採択され、ここで培ったノウハウやネットワークを生かして事業拡大や資金調達を意欲的に進めています。その資金調達額は11社で累計約32億円に達し、パートナー企業やVC、金融機関などとのマッチング機会提供数は427件と、大きく事業成長に寄与してきました。
そして品川区では、2024年度より「スタートアップ・エコシステム推進事業」を開始して、さらなるスタートアップの成長および地域産業の活性化を図っています。そこで、現代社会において多様化、複雑化する様々な地域課題を解決する主体としてスタートアップに期待し、プログラムを「品川 ソーシャルイノベーションアクセラレーター」にリニューアルすることとなりました。
研修・メンタリングは3~5期と同様、株式会社ゼロワンブースターと連携して行われます(同社による、これまでのプログラムの振り返りや工夫点はこちらの記事をご覧ください)。
本プログラムでは、事業においてITを活用するシード・アーリーステージのEXITを目指す事業者や個人事業主を対象として、2026年3月までの約6ヵ月間、研修を行います。
プログラムの内容は、IPOやM&Aを目指すことを意識したものとなっており、起業に向けたマインドセットや、投資ラウンドごとの資金調達のポイント、エンジェル投資家によるピッチの添削講座といった実践的な学びの機会が設けられています。また、リソースの限られるスタートアップならではの広報戦略や、社会課題解決との向き合い方、先輩スタートアップが実体験を紹介する交流会などの貴重な機会も用意されています。
また、希望者が参加できるサイドイベントとして、VC・CVC/金融機関相談会や、パートナー企業との交流会、先輩スタートアップからフィードバックをもらえる中間発表会、さまざまな社会課題解決に注力するスタートアップとの交流会なども設けられています。

当日、Kick-Off会場の大崎ブライトコアホールには、書類・面接審査を経て採択された20事業者や、連携パートナー企業・団体の担当者などが集まりました。
品川区 森澤恭子区長の開催あいさつに続き、事務局のキャンパスクリエイトより、パートナー企業から提供の特典利用の申請方法や、サイドイベントに関する説明がありました。
ゼロワンブースターからのオリエンテーションでは、一部の研修のなかでピッチ&フィードバック(希望者がピッチを行って他の採択者から質問、意見、アイデアなどを聞ける)を行い、単なる意見交換にとどまらず、相互に学びあう場としていけるといった、本プログラムの特徴が説明されました。
次いで、品川区の栗原創業・スタートアップ支援担当課長より、品川区の創業・スタートアップ支援の取り組みが紹介されました。2024年度より取り組むスタートアップ・エコシステムの構築・推進において、昨年度はネットワーキングとして3回のイベントを実施し、スタートアップや大・中小企業、地域の町内会、学生など、延べ282名が参加。オープンイノベーションでは「ものづくり」「商業・サービス」をテーマに、スタートアップと大手企業にマッチング機会を120件提供し、17件がマッチングを果たし、2件が契約に至りました。今年度も8月に「教育・子育て」をテーマに、学研ホールディングスなど大手3社とスタートアップ14社が参加してワークショップを行っています。また、エコシステム推進拠点都市との連携として、昨年度は福岡市、仙台市、東京都とイベントを実施し、延べ156名が参加。地方発スタートアップの東京進出や区事業への接続など、双方向の交流やイノベーション創出の機会提供を目指しています。今年度も7月に墨田区・港区・東京都と連携したイベントを行い、116名が参加したことなどが紹介されました。
次に、パートナー企業からの特典紹介では、品川産業支援交流施設SHIPのオープンラウンジ利用や西大井創業支援センターのコワーキングスペース利用、武蔵小山創業支援センターの交流サロン利用をはじめ、さまざまなサポート、実証実験支援、個別メンタリングなどが説明されました。
その1つであり、130社以上の会員企業から成る(一社)五反田バレーからも、五反田・品川地域との交流や賛助会員企業とのコラボについて紹介。経営者コミュニティとして活発に活動していきたいとの方針も語られました。

次に、受講者である20のスタートアップ・起業家が、約3分ずつ自己/事業紹介のピッチを行いました。
その内容はバラエティに富み、生成AI×カメラで現場を進化させる業務自動化・支援プラットフォーム、自社にピッタリのアプリを見つけられる建設DXノーコードアプリマーケット、実験記録と仮説検証をAIでサポートするサービスなど、「ものづくりの現場を支援」するものや、AIが学習シナリオをパーソナライズする次世代動画学習プラットフォーム、教員不足と学習格差を解消する英語教育基盤など、「教育現場をアップデート」させるもの、未来の食インフラを築くスマート農業ユニット、環境保護×オフライン広告の移動式ゴミ箱など、「環境にアプローチ」するものなど、まさに「ソーシャルイノベーション」につながりそうなものが多数見受けられました。

また、本プログラムへの期待として「プロダクトのPoCに協力いただける企業を紹介いただきたい」「技術面でアドバイスくれたり、ビジョンに共感してもらえる仲間を作りたい」「資金調達に向けて、多くのVCや金融機関と話をしていきたい」といった意欲的な発信も見られていました。
その後は、採択者間やパートナー企業との交流タイムが約1時間持たれ、名刺交換や、ピッチをふまえたアピールや質問、本プログラムへの期待などが活発に交わされていました。

※品川 ソーシャルイノベーションアクセラレーター2025のパートナー企業は下記の通りです。
・セガサミーホールディングス株式会社
・株式会社学研ホールディングス
・東急株式会社
・株式会社ローソン
・寺田倉庫株式会社
・SGホールディングス株式会社
・日本電気株式会社
・株式会社三井住友銀行
・株式会社三菱UFJ銀行
・三井住友信託銀行株式会社
・株式会社みずほ銀行
・損害保険ジャパン株式会社
・株式会社 PR TIMES
・パーク24株式会社
・株式会社明電舎
・品川区立品川産業支援交流施設SHIP
・品川区立西大井創業支援センター
・品川区立武蔵小山創業支援センター
・一般社団法人五反田バレー

